2018年12月04日に初出の投稿

Last modified: 2018-12-04

岩波講座 情報科学〈22〉人工知能 (1982年)

昨日、古書店から『岩波講座 情報科学〈22〉人工知能』(白井良明、辻井潤一)が自宅に届いた。このシリーズは1980年代に出版されたものだが、computer science の基礎的な知識を得るのに良い参考となっているし、古本としても安価に買えるので、10冊ほど手に入れている。もちろん論理学に関連する内容の本も含まれていて、実務を離れた観点からも興味深い内容が多い。

そして、この人工知能を扱った本は、中身を眺めていると「AND/ORグラフ」という項目が登場する。もちろん、問題解決という脈絡で探索のモデルとして解説されているのだが、これは "attack trees" について議論するための基礎として利用できる。

このように、離散数学は情報科学の基本的な素養として非常に便利で重要だ。プログラミングやセキュリティ上の分析からマーケティング調査や経営判断やナレッジマネジメントに至るまで、情報という単位でものごとを操作したり考えている人にとっては必須の知識だと思う。二年後からプログラミングが学校で必修となるそうだが、そんな小手先のテクニックなど実際のところブルーカラーの養成にしか役に立たない。もちろん生徒が IT ベンチャーやゼネコンで「エンジニア」とか「ものづくり技術者」と称する土方になることを望んでいるならともかく、教師、あるいは教育委員会や文科省、そして講師を派遣する LINE のような企業は、ぜひとも小手先のテクニックを教えるていどで若き投資家になれるとか、巨大プロジェクトのメンターとして翔泳社から本を出版できるとか、あるいはスタンフォードや MIT に留学できるいった夢物語を抱かせないようにしてもらいたい。

なお、当サイトでは簡単に「離散数学」と書いているが、実際にどういう分野が相当するのかは研究者によって異なるというのが実態だろう。書店で「離散数学」を書名に掲げているテキストを何冊か手に取って目次を見ていただければ分かるように、或る本には combinatorics が入っていないし、或る本には boolean logic がなかったり、別の或る本には probability がない。人によっては、その本から更に進めば不足している項目を学ぶことになると思っているのかもしれないが、日本の数学や工学の教員で、そういう目的から複数の段階を追ったテキストを書いている人は殆どいないのが実情である。ただ、大半の教科書に共通しているのは、グラフ理論である。そして、グラフ理論を厳密に展開したいと望んでいる著者であれば、素朴集合論(つまり axiomatic でない)を最初に挟むというのが定石になっているとは思う。

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