はじめに
髭剃り、特に直刃剃刀(SR: straight razor)や替刃式の直刃剃刀(replaceable blade straight razor)という形状の剃刀を使ってシェーヴィングするときの姿勢をご紹介して議論します。まず、姿勢について議論するための基礎知識として、解剖学を始めとする用語や、運動学の知識をご紹介します。そして、日本の国家資格である「理容師」の養成学校で使われている教材を基準に髭を剃るための適切な姿勢について説明します。最後に、理容師のシェーヴィングは姿勢や剃刀の持ち方において他人の顔を剃るという状況が仮定されていて、必ずしも自分自身で髭を剃る状況に適していない説明があるため、自分で剃るための姿勢に当てはめて検討してみます。
姿勢の解剖学的な基礎知識
姿勢について学び、議論するためには、少なくとも身体について幾つかの分野で使われている用語を知っておく必要があります。中でも部位の位置関係や向きについて決められている用語を誤解すると、単なる無知というだけではなく、誤解にもとづく間違った方法で自分自身の身体にも悪い影響を与えてしまう恐れがあります。したがって、まずは身体について用語を正確に理解しておき、他の人たちが書いている文章や話している映像を正確に活用できることが望ましいでしょう。
最初に、解剖学という分野で定められて、スポーツ科学、リハビリテーション医学、身体運動学、作業療法といった、主に医療・福祉系の分野に普及している、身体の位置関係を参照するための用語(directional terms of anatomical reference position)からご紹介します。
人体を真正面または真後ろから眺めた様子を平面と考えて左右を対称だと見做したときに、左右を点対称に区分する位置を「正中(median)」と言って、正中を頭から足まで繋げて左右を線対称に区分する線を「正中線(midline)」と呼びます。あくまでも身体を真正面か真後ろから見た際の中心線ですから、必ずしも身体の重心を通ると仮定してはいけません(そもそも身体の重心は、その人が取る体位によって三次元上の位置が幾らでも変わります)。そして、この正中線に向かう側を「内側(ないそく)」とか「内方(ないほう)」と言って、正中線から遠くへ向かう側を「外則(がいそく)」とか「外方(がいほう)」と言います。それから、身体のどこの部位でも構いませんが、或る位置から見て頭の側を「頭側(とうそく)」ないし「上方(じょうほう)」と言って、逆に脚の側を「尾側(びそく)」ないし「下方(かほう)」と言います。この場合も、逆立ちしている状況などがあるため、必ずしも頭側が上空の向きだとは限りませんし、平面に寝ている場合は、必ずしも尾側が地面の向きだとも限りません。そして、これも身体のどこであれ、或る位置から見て正面の方を「腹側(ふくそく)」とか「前方(ぜんぽう)」と呼び、背面の方を「背側(はいそく)」とか「後方(こうほう)」と呼びます。これも、横に寝ている場合は前方とか後方と言われただけでは、上なのか下なのかは判断できません(それだけでは、当人が仰向けなのか伏せているのか、あるいは横臥なのか分からないからです)。これらに加えて、身体の内部にある一点から見て体表側を表すのに「外(external)」とか「浅い(superficial)」という言葉を使い、体表から内側を表すのに「内(internal)」とか「深い(deep)」という言葉を使います。ただし、どこを体表と見做すかによって内なのか外なのかが変わってしまう可能性があるため、明らかに体表が近い位置にあると分かっている状況でしか使えない言葉でしょう。このように、身体の或る部位(一点)において、そこから身体内での向きを言い表す用語として、こういう言葉が使われています [竹井, 2015: 20] [Hall, 2019: 31]。
次に、身体を切断する平面を設定して部位の位置関係を参照するための用語(directional terms of anatomical reference planes)についてご紹介します。どういう向きに切断するかは、上のとおり三つの基本的な種類があり、それぞれ水平面、矢状面、冠状面などと呼ばれています [竹井, 2015: 24]。もちろん、切断面を取る角度は他にもありえますし、目的によっては違う角度で切断した方が分かりやすいという場合もあるでしょう。ともあれ、他の角度で面を設定したとしても、それは容易に基本的な三つの面で計測した場合の座標として変換できます。そうして、腕や脚など身体の各部位を動かすときに、どの面に沿った運動として測定したり記述することが効果的なのかを選んで、水平面上の運動(transverse plane movements)とか矢状面上の運動(sagittal plane movements)とか冠状面上の運動(frontal plane movements)として、解剖学では運動の向きを表す用語が詳しく定義されています [Hall, 2019: 33-39] [Glass, Hatzel, and Albrecht, 2014: 140-143]。髭剃りにおいては、身体全体の姿勢だけではなく、頭の向きだとか、手を当てたり剃刀を持つ向きや運行など、身体の一部に特化した向きや運動も考える必要があります。本稿では、髭を剃るにあたって安定した身体全体の姿勢だけを議論しますが、今後は部位の向きや動きも取り上げてゆく予定です。
姿勢の運動学的な基礎知識
姿勢については、ロボット工学やキネシオロジーや生物物理学などでもヒトの身体のバランスを研究していて、重力を始めとする力が加わる様子を数量として議論します(ちなみに、本稿は姿勢の改善や診療の基準、それから特定の療法や医療機関の良し悪しを議論したいわけではないので、カイロプラクティックや整体などの代替療法、あるいは科学として議論するに値するかどうかについて疑いがある分野は考慮しません)。そこで、次にそれらの分野で使われる運動力学(kinematics)や運動学(kinetics)の用語をご紹介します。なお、運動力学と運動学の違いは次のようになっています。ヒトの肉体運動つまりは動作として力のはたらきを考えるのが運動力学であり、筋肉の使い方とか脚のふんばりとかに関わる分野を指しています。これに対して、ヒトが運動したり踏ん張ったりしている結果としての姿勢において、どういう力が釣り合っていたり、どの向きに重力がはたらいているかを考えるのが運動学なので、こちらはヒトの体による動きや作用の結果に関わる分野です。したがって、仮に運動学として身体が静止していて力が釣り合っているという点では同じだとしても、楽な姿勢で人が座っているのか、それとも逆立ちしているのかによって、運動力学としては全く違う様子になっているわけです。
ヒトの身体が姿勢として適正に、つまり最低限のエネルギー消費で力の均衡を保っている場合には、筋肉や骨という身体の部位が作り出す力のバランスが保たれていて、しかも過剰な踏ん張りや筋力を必要としていないという様子が想像できます。そのような状況で身体として釣り合っている力のバランスは、可動部分にかかっている力と、骨など可動部分以外にかかっている力とを分けて考えた方が良い筈です。特に、骨の本体など可動しない部位については、骨が砕けるほどの力が加わっていない限り、姿勢やバランスを取る際に僕らが何か特別に力を骨に加えたりすることはないでしょうから、考慮しないでもよさそうです。したがって、身体を単純に可動部分とそうでない部分に分けた場合には、可動部分である関節を骨が動くときの軸として考え、そこにどういう力が働くかを議論すればいいでしょう。
このような前提で、ここでは仮に脚へ後ろから力が加わるような状況を考えてみます。上の図で、いちばん左端に示したのは立位、すなわち立っているときの姿勢です。この状態で、左足に後ろから力が加わるとき、左足の踵が「回転軸(rotation axis)」となって動かされます*。そして、開き戸のドアを開け閉めするときに誰でも経験していると思いますが、ドアノブを使わずに蝶番(ちょうつがい。ヒンジとも言う)の近くを押したり引いたりしてドアを開け閉めするのには、ドアノブを使うときよりも強い力が必要になります。脚の事例で言えば、脚の上部と下部では、同じ力を加えてもバランスの崩れやすさに違いがあるということでもあります。そこでは、回転軸からの距離と、力を加える場所で力をどの向きに加えるかという方向とが重要な要素となります。
*倒れた相手が大けがをすることがあるため、決して勧められるものではありませんし、僕も友達にやったことはありませんが、子供の頃に(いや大人でもやる人はいますが)「膝カックン」という悪ふざけを友達にやる人がいたものです。あれと同じく、後ろから相手の膝の後ろに急に力を加えると、多くの場合に脚で身体を支えるバランスをとっさに取れなくなって、倒れてしまいます。この悪ふざけは、たいてい相手よりも背の高い人がやるものです。なぜなら、相手よりも背が低いと相手の膝よりも自分の膝の方が低くなって、相手のバランスを崩すだけの力を相手の膝へ加えにくいからです。子供でも、経験からそういうことは知っているわけですね。
或る一点を回転軸 ^^O^^ として固定し、そこから ^^r^^ だけ延ばした位置にある作用点 ^^P^^ へ加わる力を ^^\vec{F}^^ とします。静止している状況では、この ^^\vec{F}^^ は重力と見做してよいでしょう。すると、ここで作用点に力が加わって作用点(質点)が回転するときに、^^N = r \times F^^ (N・m)をトルク(torque)と言います。これは力のモーメントとも呼ばれていて、或る点に力が働いた場合の能率という角運動量を表しています。この式からも、^^r^^ が大きければ ^^N^^ は大きく、^^r^^ が小さければ ^^N^^ は小さいので、回転軸(開き戸の場合は蝶番)から離れた作用点(ドアノブ)に ^^\vec{F}^^ の力を加えるのと、回転軸に近い作用点へ同じく ^^\vec{F}^^ という力を加えるのとでは、その効率に違いがあるということが分かります。これを姿勢の話として考えると、上の図で示したように足を曲げた姿勢で静止した状況だと、可動箇所は幾つかあるので膝を回転軸として腰を作用点に想定すると、作用点に重力がかかるのは誰でも分かるでしょう。これに対して脚や腰の筋肉や骨で色々な力を働かせて釣り合いを取っているのが、上の図のような状況です。もちろん何もしなければ、そのまま作用点の ^^P^^ から床に腰が落ちてへたり込んでしまうでしょう。そうならないために、わざわざ踏ん張るだけの力を使っているわけなので、これは(少なくとも最小限度の力だけで姿勢を保てるかどうかという観点に立てば)姿勢として安定しているとか適正だとは言えないでしょう*。
*なお、トルクを説明する多くの物理の本では、このような状況で加わっている力の説明でネジの回転という事例を持ち出したりするわけですが、床に向かって回転しようとする以外の運動として、どちらか左右への回転が起きたりはしません。トルクは仮想の物理量であって、その「向き」が ^^r^^ と ^^\vec{F}^^ でつくる平面と垂直に右ネジが回転する方を向くからといって、その「向き」に作用点(質点)が移動するわけではないからです。当たり前の話ですが、その向きにネジが動くのは、ネジがそういう造りになっているからにすぎず、釘ならグルグルと回したところで全く刺さっていかないでしょう。そもそも、いま述べた説明で「あれ?」と思った方もいると思いますが、^^r^^ と ^^\vec{F}^^ がつくる平面に対して、垂直な向きというだけなら互いに正反対の二通りの向きがあるわけで、どちらかの向きが正解だと言えるわけではありません。一般的に正解とされている向きの逆を向いていても、^^r^^ と ^^\vec{F}^^ がつくる平面に対して右ネジを回転させる向きのベクトル(つまり正反対の向きになるベクトル)はありえるからです [Hademenos, 1998: 139]。要するに、これは数学や物理学の教科書を作る人々が陥りやすい、視覚的な図表を使ったことによって筆者自身が錯覚している事例の一つだと言えるでしょう。こういう無駄な説明を加えて根拠のない断定(どちらかの向きがネジの進行方向として正しいという)をする必要がないと考える人々は、もちろんトルクを話題として取り上げる場合でも右ネジを使った説明など全く使っていません。もしネジの事例を持ち出すなら、「^^\vec{F}^^ という力が加わる向きに右ネジを回す場合に、その右ネジの進む向きが ^^N^^ の向きである」と言わなくてはなりません。これなら、どちらの向きが正解なのか明白でしょう。しかしそれでも、トルクは力の働き方の「効率」を表すヴァーチャルな物理量にすぎないのであって、上の図で示した姿勢をとっている人物の膝が右側に動いていくわけでも何でもありません。
理容師の教育機関や専門学校で教えられているシェーヴィングの姿勢は、原則としてクライアントの髭を剃るという状況を想定しているため、教材で解説されている内容の多くは自分で自分の髭を剃る状況には当てはまりません。しかし、安定した姿勢が必要であること、それから剃刀を持つ手が動きやすい姿勢をとることの二点は、自分の髭を剃る場合あろうと他人の髭を剃る場合であろうと、共通の原則になるでしょう [公益社団法人日本理容美容教育センター, 2022: 11f.]。
安定した姿勢
自分で自分の髭を剃る場合の安定した姿勢は、次に述べる手の動きやすさとの関わりで調整しなくてはなりません。いくらしっかり安定するからといって、手が動かし辛くなるようだと、剃刀を当てる角度や剃る部位の見え方などが制約されるかもしれません。すると、皮膚を切ったり、あるいは効果的に髭を剃れずに何度も剃刀を当てて皮膚に無用なダメージを与えるリスクが高まる恐れもあります。姿勢を安定させるためには、理学療法・リハビリテーション医学、バイオメカニクス、身体運動学、スポーツ科学などの分野で議論されている、以下のような情報や知識を知っておくとよいでしょう。
- (A1) 自分の体重や腕の重さ,
- (A2) 腕が動かし辛くなるほど太っているかどうか,
- (A3) 「重心(CG: center of gravity)」の位置,
- (A4) セグメント(可動部位)の数や可動域,
- (A5) 「支持基底面(BOS: base of support)」と呼ばれる、接地箇所がつくる面積,
- (A6) 重心を地面へ垂直に投射した「重心着力点(COP: center of pressure)」の位置
これらが姿勢としての良し悪しにどう関わるかは、当人の体型や髭を剃る環境などによって異なります。たとえば、一概に体重が軽くなくてはいけないというものでもありません。太っていると常に不利かと言えば、そうでもないのです。顎から首にかけて太っている人は、格闘家の多くも首が太いため、必ずしも太ってそうなるとは限りませんが、自分で剃る様子を自分自身で眺めるときに顔を上へ向けずに済むという事実があります(だからといって顎の下の髭を安全に剃るために、わざわざ太る人はいないと思いますが)。それから、足を大きく開いて支持基底面を広くすればするほどいいというものでもありません。足を開きすぎると背が低くなって鏡が見えなくなったり、用具を取ったり置いたりし辛くなるかもしれません。また、同じ姿勢を保つための過剰な力が常に必要となり、リラックスできているとは言えなくなります。そして緊張するべき場合でも、本来は顔を傷つけないよう腕や手の動きに集中しなくてはいけないのが、足にも注意を払わなくてはならないでしょう。
髭剃りという作業には、「施術」などと医療行為に準じる大袈裟な表現が使われることもあります。もともと歴史的な事情として、理容師が外科医も兼ねていたと言われているため、他人の肌に刃物を当てるということ自体のリスクや危険をそういう言葉で敢えて示しているのかもしれません。したがって髭剃りの姿勢を議論する場合、髭を単に切り落とすという目的だけではなく、肌を切ったり荒れさせないように安全や衛生に配慮するという目的も必ず含まれると考えるべきでしょう。すると、髭剃りにおいて「姿勢の良さ」を議論するためには、上記の各点について髭を剃る効率や剃り易さという観点だけではなく、労働安全衛生や、それからスキン・ケアとしての心地良さなど他の観点も必要になり、それらの異なる観点を各人の方針や好みや体質や髭を剃る環境などによって調整する必要があるかもしれません。大別すると、そうした観点には次のような種類が考えられます [西條, 1995; 以下は必ずしも論文で示された分類と同じではない]。
- (B1) 力学的に安定すること,
- (B2) 疲労しにくいこと,
- (B3) 皮膚を傷つけたり荒れさせないこと,
- (B4) 不愉快や煩わしさを感じないこと,
- (B5) 所作としての美しさ,
- (B6) 作業能率が保たれること
(B1) 力学的な安定は、バイオメカニクスあるいは身体運動学という分野の知識を借りて議論できます。このような安定には線形運動と角運動という二つの運動が関連していて、物体の或る点を固定した場合に、その物体にかかる力の「トルク(torque)」(「力のモーメント(moment of force)」とも言う)がゼロになっていて釣り合いが取れているかどうかが、その物体が安定しているかどうかを判断する力学的な根拠となります。これらの力のかかりかたを測るには、身体の重さ (A1)、身長などがかかわる重心 (A3)、それからセグメント (A4) の可動範囲や摩擦係数なり動かしやすさ(筋肉や骨の性質にも関係があるし、実際に動かすときは神経の反応速度なども関連する)など、身体の色々な特性や計測値を利用して厳密な力学的能力を割り出すと、その人にとって力学的に安定した状態がどういう身体の様子なのかが分かります。とは言え、これらを医学やスポーツでの専門的な検査として扱うのはオーバー・スペックというものでしょう。自宅で誰でも分かる範囲の事実を使って議論した方が現実的ですし、安全かつ快適に髭を剃るにあたって各人が注意するべきことも(厳密な値としては言えないまでも)おおまかに予想できる範囲で分かります。
そこで概略だけ説明すると、動作や姿勢の変化によって重心が BOS の範囲から外に出るとトルクが生じます。これによって、身体を支持している点からの角運動が起きて、当たり前のことですが地面に向かって運動が始まります(筋肉の力で踏ん張ったり杖などで何らかの対処をしなければ、バランスを崩してつんのめったり倒れこんだり、あるいは後ろへ引っくり返ったりします)。静止しているときの重心から、BOS の外縁に向かって重心が離れれば離れるほどバランスを崩しやすくなります。逆に言えば、少しの力でバランスが前に傾くため、陸上競技などで待機しているときの姿勢では、できるだけ重心を BOS の外縁に近い位置へ移動させるわけですね。それから上下の位置としても、スポーツで初心者にアドバイスするときには「膝を曲げろ(bend your knees!)」などと言うように、重心を低くすることが姿勢を安定させるのに効果的です。なぜなら、高い位置にある力点と低い位置にある力点に同じ力を加えた場合、固定した点(axis of rotation, 髭剃りの場合は足が接地する床)への長さによって起きるトルクが異なるからです。この長さが長いほどトルクは大きくなるので、重心が高いと、低い重心で加えた力よりも少ない力で同じだけのトルクが起きるというわけです。ということは、重心の位置が高いと少しの力で姿勢の安定が損なわれやすいと言えます。このように、姿勢の均衡(equilibrium)やバランス(balance)や安定性(stability)というものを保つためには、次のような要素が関連します [Hall, 2015: 431-433]。
- (C1) 身体の質量が大きいこと,
- (C2) 身体と接地点との摩擦が大きいこと,
- (C3) 外から加わる力の働く向きに対して BOS が広いこと,
- (C4) 外から加わる力の側に BOS の中で重心が近いこと,
- (C5) 重心の高さが低いこと,
これらの中で最も効果的なのは (C3) の BOS の面積であり、他の要素はわずかな効果しかありません。床の摩擦が低かったり、体重が少なかったり、あるいは重心が高いとか BOS から重心が少し出たくらいでは、BOS が十分に広ければ姿勢の安定をただちに損なうものではないからです。ただし、姿勢の安定という目的だけに着目すれば BOS の広さを優先して考えられますが、髭剃りという作業をする場合の姿勢として幾らでも BOS を広くするわけにはいきません。
参考
書誌情報は、「References - Shaving」のページにまとめてあります。こちらをご参照ください。