2017年02月15日09時21分 に初出の投稿

河本孝之Takayuki Kawamoto

Last modified: 2017-02-15 09:21:57

同研究部では、そうしたユーザー間の影響関係から生まれるシミュラークル(≒コピー体験の広まり)というトレンドの発生のモデルを提唱。SNSのビジュアルコミュニケーション化の進展により、生活者の自己発信やメディア化を支援することが、より企業やブランドのプロモーションに生かされる時代になっていくと考えている。

10代女子が写真投稿に使うアプリは平均3つ--電通総研が若者のSNS利用を調査

いまどき「シミュラークル」とは恐れ入る。ニューアカ時代の流行語を使いまわすしか能がなくなったと言うべきか、もともと研究対象だけでなく自分たち自身も通俗的という他はない凡人の分析能力はこのていどだと言うべきか。ともあれ、こういう記事に共通して言えることは、現状分析の半面で、既に代理店さんが首を突っ込んでる案件への誘導ではないのかということだ。もしかすると、既に幾つかの写真・動画投稿サービスの広告販売を仕切ってる可能性もあるわけだし、ガキがどんどん参加して使うという「彼らの分析結果」は、明らかに親会社のインセンティブになっているかもしれない。本来、写真投稿という行動は、もちろんそれ自体が本人や周囲の気晴らしという効果を除いては殆ど世界にとって何の役にも立たない時間とリソースの浪費なので、その是非も含めて問われて良いはずだが、アナリストは「客観性」や「中立性」の名の元に、敢えてそれをしないといいつつ調査結果をトレンド化して同調圧力の手助けをしがちだ。そして、クライアントでもあるから言いにくいことではあるが、電通さんは広告代理店なので、何であれトレンドに関わることには明白な利害関係がある。はっきり言って中立の研究など不可能だし、社内的にもそんな学術的にしか意味がない結果を、敢えてメディアにリークして報道させるわけがないと思う。

そもそもメディアリテラシーや経済学の観点から言うと、シンクタンクの研究員とかコンサル会社のアナリストというのは、公的な業績がなければ、ウィキペディアで「独自研究」のタグを貼り付けられるような人々と同じである。電通総研だろうとマッキンゼーだろうと NRI だろうと、発表内容の学術的な価値は、我々のようなアマチュアの研究者と同じていどでしかない。確かに、彼らが実際に使っている調査の手法なりツールは高度で洗練されているかもしれないが、それを使う人間に分析能力や背景知識があるという保証は何もないし、彼らに産業あるいは特定企業の従業員としてのバイアスが掛かっているのではないかという理由で、その分析結果について判断を保留するのは妥当である。そもそも研究員やアナリスト自身に悪意がなかったり偏向の自覚がなかったとしても、東大卒とか元マッキンゼーとか電通総研とかの名札付きで、メディアを使って一定のシグナリングやアナウンス効果に寄与できれば役務を果たしたことになる。

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