Scribble at 2024-04-25 22:31:27 Last modified: 2024-04-25 22:36:51

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ただいま、『動かしながら理解する CPU の仕組み:パソコンの中心はどうなっているのか』(加藤ただし/著、講談社ブルーバックス、2010)を読み始めているのだが、これ2010年に出た本なんだよね・・・うーん。なにを困惑しているのかというと、この本は 8cm CD-ROM が付属していて、Z-Vision という Z80 用のアセンブラ・シミュレータが使えるようになっているのだけど、これを開発したという「システムロード」という会社を検索してみたら、いくつかの同名企業がある。その中で systemload.co.jp というドメインをもつ有限会社システムロードというのを見つけたので、サイトへアクセスすると存在していない。しかたなく Wayback Machine で検索すると、今度は systemload.net に変わっていて、そちらへアクセスすると、これも存在しないので Wayback Machine に戻ってみたところが、上のスクリーンショットだ。このサイトの履歴を調べると、2011年にはドメイン・スクワッターのクズみたいなブログにすり替わっているため、おそらくは本書が出版された直後にシステムロード社は事業を終了したものと思われる。つまり、販売する予定がなくなったので、機能の一部を書籍の付録として放出したということなのかもしれない。そういう事情があったなら、それはそれで気の毒な話であろう。

ただ、これの何が困るかと言うと、仮にバグがあっても修正する人がいないし、それどころかソース・コードすら所在が不明になっている可能性があるということだ。いまではアセンブラのシミュレータなんて GitHub で検索すれば JavaScript で実装した無料のフロント・エンドがいくつもあるし、もちろんシミュレータとして開発されたソフトウェアも大学から企業から色々とあり、専門学校の学生が卒業制作で Qiita に掲載している事例もある。なので、不安があるならアクティブなプロジェクトのリリースを使えばいいわけだけど、困ったことにたいていのプロジェクトがリリースしたきりで放置されていたりするんだよね。

要するに、この手の組み込み系の技術者にとっては FizzBuzz レベルの遊び半分でやれるようなプロジェクトらしく、真面目に何年もコミットするようなシステムではないということなのだろう。でも、だからこそ平均的なプログラマというのはアセンブラを知らないし、興味すら無いのだと思う。リリースしてる人間が何の思い入れもなく、自分の手業を自慢するためだけの記録としてしか公表しないなら、そんなものを他人がわざわざ使う道理など無い。だって、メンテしてないし、する気もないんだろ?

もちろん、このシステムロード社については、同じ理屈で非難するつもりはない。企業が破綻する原因なんて色々あるのは企業の役職者の一人として弁えている。わざわざ書籍に同梱するために一部の機能を抽出してカスタマイズしたというのだから、破れかぶれで自社製品を放出したというわけでないのは分かる。

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