僕の『やちまた』ノート

河本孝之(Takayuki Kawamoto)

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First appeared: 2017-09-03 14:37:25.
Modified: 2017-09-04 12:15:41,
Last modified: 2017-09-10 17:04:27.

はじめに

このページは、足立巻一(あだち・けんいち, 大正2年6月29日: 1913-06-29 ~ 昭和60年8月14日: 1985-08-14)さんの評伝小説である『やちまた』に関連するテーマを扱っています*1

「『やちまた』ノート」という表現は、西尾明澄(にしお・あきずみ, 昭和12年: 1937 ~)さんの『「やちまた」ノート』(編集工房ノア、非売品、2000)という本の書名から採っています。この本は (1) 『やちまた』という書籍自体の編集や執筆・発行に関わる事柄、(2) 著者である足立巻一さんに関わる補足、(3) 『やちまた』に描かれた人々や事跡にかかわる注釈などを集めた資料集と言ってよい本であり、僕が読んでいない足立さんの著作なども活用されていて大いに参考となりました*2。とは言っても、『「やちまた」ノート』は飽くまでも西尾さん自身の関心に従って編集されている本なので、恐らく『やちまた』あるいは著者である足立さんについては、そのスケールから言っても人それぞれに特別な関心を寄せるテーマは違ってくるものと思いますし、読み手の年齢や経験によっても興味を惹かれるテーマは変わるかもしれません(恐らく、古典的な業績というものに共通の特徴なのでしょう)。そこで、西尾さんとは別の関心をもつ読者として、飽くまでも僕にとって関心のあるテーマを幾つか取り上げておこうと思い、僕のノートとして文書を公開します*3

それから、神道では亡くなった成人男性に「大人(うし)」、特に老人なら「翁(おきな)」という諡名を使うので、本居宣長ら国学を教えた故人には学術文書であっても「本居春庭翁」とか「本居宣長大人」などと諡名を記載する方がおられるようです。それはそれで個人的な心情としては尊重しますが、僕自身は神道の信者ではありませんし、ここで取り上げている人物の国学としての思想を支持しているわけでもないので、こういう表記は割愛させていただきます。諡名を割愛することによって、僕が故人に対して礼を失しているとお考えの方もおられると思いますが、そういう意図はありません(それに、そういう意図があれば、そもそもこんなページを制作したりしません)。

*1やちまた(八衢)」という言葉を辞書で紐解くと、「道が八つに分かれている所。また、道がいくつにも分かれている所。分かれ道が多くて迷いやすいことにたとえる」(小学館、デジタル大辞泉)と説明されています。この他、読み方は同じですが千葉県に「やちまた(八街)」市があり、こちらは市のウェブサイトでは「明治新政府の政策により徳川幕府の放牧地であった小金・佐倉両牧の開墾に際し、開墾局が開墾に着手したおおよその順序によって命名された字名による」(つまり「8番目に開墾された地」)という由来を持っています。

*2価格が裏表紙などに印刷されておらず非売品です。僕は大阪市中央図書館で借りられたので、足立さんの地元である神戸市はもちろん、他の都道府県でも所蔵する図書館はあると思います(古本として検索してみたところ、僕の知る限りでは 7,500 円くらいのプレミアがついているようです)。

*3もちろん、『「やちまた」ノート』で取り上げていないテーマを西尾さんが軽視していたかのように読む方へ誤解されると困るので、当サイトでは『「やちまた」ノート』を補うような意図で、つまり何か重大な不備があるから補訂するのだと言わんばかりに文書を公表するわけではないと明言しておきます。

なお書誌情報は、一括して下記に掲載している「書誌一覧」の記載事項を、各ページで [東, 1995: 10] などと典拠表記します。[著者名, 出版年, ページ] の順番でご参照ください。

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記事一覧

足立巻一の死生観
Last modified: 2017-09-19
鹿持雅澄にまつわる覚え書き
Last modified: 2017-09-21
『やちまた』覚え書き
Last modified: 2017-09-10
鹿持雅澄の墓
Last modified: 2017-09-09(下村海南/著, 「鹿持雅澄の墓」 in 『本卦かへり』, 四条書房, 1935, pp.168-171).
鹿持雅澄の妻
Last modified: 2017-09-09(吉井 勇/著, 「鹿持雅澄の妻」 in 『歌境心境』, 湯川弘文社, 1943, pp.117-121).

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書誌一覧

『やちまた』

『やちまた』の各版については、書籍として公刊されたものとしては、おおむね河出書房新社から出た初版(1974年)と改訂版(1990年)、朝日文芸文庫版(1995年)、中公文庫版(2015年)の四種類があります(「おおむね」と書いたのは、これらの中に「第何刷」として誤植が訂正されているものがあるかもしれないからです。僕は、それらの細かい異同は把握していません)。僕は『やちまた』という書物そのものについて異なる版を幾つも収集するつもりはありませんでしたが、色々と経緯があって河出書房新社の改訂版を除いて三種類の版を所蔵しています。当サイトでは、僕が所蔵している以下の三種類の版について、『やちまた』の該当箇所を典拠表記する際に [§p, 1974a:nn, 1995a:mm, 2015a:oo] と並記します(何度も通読している方であれば、この中の一つだけでも該当箇所の当たりはつくと思いますが、『やちまた』は目次がなく、しかも河出書房新社の単行本には(少なくとも初版には)各ページに第何章を表す欄外表題の数字すら印刷されていないので、それぞれの版だけを読んでいる方のために便宜を計ります。また、更に章立ての番号も添えておきます)。

足立巻一 (1974a)
『やちまた (上)』, 河出書房新社, 1974 (初版).
初めて読んだ当時は朝日学芸文庫版ですら入手困難だっため、古本で買ったものです。河出書房新社の単行本には、それ以降の文庫版にはない写真が数多く添付されています。写真の一覧は『「やちまた」ノート』に詳しく列挙されています。
足立巻一 (1974b)
『やちまた (下)』, 河出書房新社, 1974 (初版).
上下巻、合せて 3,000 円で手に入れたもの。カバーはなく、代わりに厚手のパラフィン紙で表紙を補強してありました。この下巻にも多くの写真が添付されています。
足立巻一 (1995a)
『やちまた (上)』, 朝日新聞社 (朝日文芸文庫, あ19-2), 1995.
まだ中公文庫版が出ていない頃に携帯用として購入したものですが、特に携行する機会もなく過ごしているうちに中公文庫版が出たので、殆どコレクションになっています。
足立巻一 (1995b)
『やちまた (下)』, 朝日新聞社 (朝日文芸文庫, あ19-3), 1995.
足立巻一 (2015a)
やちまた (上)』, 中央公論新社 (中公文庫, あ17-2), 2015.
確か、higonosuke さんの「黌門客」というブログの記事で、中公文庫版として再刊されると知りました。その後、書店で呉智英さんの解説だけを立ち読みして済ませていましたが、『やちまた』に関連するコンテンツを作ろうと決めたのをきっかけとして、これから多くの方が接するであろう最新の版で典拠表記しなければ不親切になると考え、買い求めました。
足立巻一 (2015b)
やちまた (下)』, 中央公論新社 (中公文庫, あ17-3), 2015.

その他

東 秀三 (1995)
『足立巻一』, 編集工房ノア, 1995.
足立巻一 (1984)
『足立巻一詩集』, 土曜美術社 (日本現代詩文庫:15), 1984.
足立巻一 (1985)
『人の世やちまた』, 編集工房ノア (ノア叢書:8), 1985.
足立巻一 (1995c)
『夕暮れに苺を植えて』, 朝日新聞社 (朝日文芸文庫, あ19-4), 1995(1st.: 1981, 新潮社).
庄野 至 (2006)
『足立さんの古い革鞄』, 編集工房ノア, 2006.
西尾明澄 (2000)
『「やちまた」ノート』, 編集工房ノア (非売品), 2000.

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