Scribble at 2026-03-26 09:43:39 Last modified: unmodified

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国立文楽劇場に出演している人が、舞台でメガネをかけていないのはなぜか知りたい。

「レファレンス協同データベース」という、国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築している Q&A 形式の事例が集められているサイトでは、図書館へ寄せられた質問と調査の結果とを参照できる。そして、僕らのように(既にプロジェクトとしては放棄したのだが)教科書を制作しようとか、あるいは一般向けの解説や書籍を制作する方にとっては、色々と参考になる。

特に、これは決して皮肉や嘲笑の意味ではなく、いかに僕らが「常識的」と思っているようなことでも知らないか理解できない人が世の中にいるのかという、物事を説明したり解説するにあたって想定する「読み手」の知識や読解力を推し量る参考になる。たとえば上のような質問も、その一例だろう。

伝統芸能の舞台で演じるときに眼鏡をかけないという作法なり習慣なり、あるいは決まりがあるならなおさら、そういうことがあると聞けば、僕らは「常識的に考えて」、それこそ JK というやつだが、それは当たり前ではないのかと思う。「伝統」芸能なのだから、その姿かたちもパフォーマンスの一要素であると思えば、古来の芸能を伝え表現する場面に眼鏡という「工業製品」を持ち込むのは、あたかも文楽で三味線の代わりにエレキ・ギターを持ち込むようなものだと想像すれば納得がいく。でも、こういう想像をしてみない人は、やはりこうして図書館にまで問い合わせようとするのだ。

こういう「常識」というものは人によって異なるし、だいたいにおいて各人が勝手に「常識」だと思っているだけであるから、もちろん僕の想像や判断が間違っている可能性はある。「常識的な判断」というよりも、寧ろ一人合点や偏見というものだ。したがって、先にも述べたように、上のようなサービスを「いかに馬鹿がたくさんいて、いちいち図書館の司書にまで聞かないとわからないものか」などと他人を馬鹿にするためにではなく、僕らだって浅薄や傲慢でもありうるという事実を知るためにも利用価値があるのだろう。まぁ、たいていはものを自分で考えたり調べる経験とか手ほどきが不足していたり、それを自覚したり努力する意欲すらない人々の質問が多いので、眺めていて「やれやれ」と嘆息することが多いのだが。

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