Scribble at 2022-11-08 11:33:12 Last modified: unmodified

組合せ論の基礎について書いた論説は、やっと和の法則と積の法則まで書き上げた。もちろん、漏れがないとか重複がないという特徴について十分に解説しようとすると、組合せ論においては避けて通れない pigeonhole principle に言及しなくてはいけないので、この論説は現状でも未完のままである。

なお、僕の論説では従来の「鳩の巣原理」という(恐らくは誤訳の)呼称は採用しない。"pigeonhole" が直訳として「鳩の巣箱」であることは事実だが、英語の意味合いとしては鳩の巣箱に似た分類用の戸棚やラックのことを指しているわけなので、鳩という現実の生物は本当のところどうでもいいのである。なので、僕は業界の慣習よりも、意味合いが正確で適切であることを優先したいから(数学者とは、なんと非論理的な人々だろう!)「整理棚の原理」とか「分別棚の原理」と表記するであろう。

それから、そもそもなんで組合せ論の話をしているのかというと、もちろんこれはアディ・シャミアが秘密分散について書いた論文の冒頭に組合せの話が事例として出てくるからだ。そこでは Chnung Laung Liu が書いた組合せ数学のテキストから事例が引用されているけれど、組合せ論としての解説は割愛されているために、もちろん数学科の学生であればわけもない話だが、これを一般の読者や高校生にも分かる話として展開するなら、やはり組合せ論の基礎から説く必要がある。なので、いま公開している論説は話の半分でしかない。順列や組合せまで含めて解説しない限り、Chnung Laung Liu の例題を解説するところまでは進められないし、またそこを解説しておかないとシャミアの論文の解説も進められないわけである。

要するに、当サイトで扱っている秘密分散の議論を高校レベルから丁寧に展開することが趣旨であって、高校の数学を解説するという主旨だけでは趣旨が分からない方もいる筈なので(というか、たぶん記事の著者である僕が説明しないと誰も分からないだろう)、組合せ論のページを仕上げたら関連についても補足しておこうと思う。

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