Scribble at 2020-11-20 00:35:53 Last modified: 2020-11-20 00:37:40

自社のコーポレートサイトに強い不満を持っている話をしたことがある。このほど、ついに社内で提出したレポートでも、弊部が掲げる来期の目標として、コーポレートサイトの CTR を引き上げるという提案をした。

改修するべき点は幾つもあるが、その一つが意味不明な英語をナビゲーションに使うのを撤廃することだ。その典型として、弊社の運営するオンライン・サービスのサイトへリンクするアンカー文字列の "VISIT SERVICE SITE" という文言である。英語ならびにタイポグラフィの心得がある方なら、これだけで噴き出してしまうようなフレーズなのだが、どうも国内のデザイナーには両方の知見を一定のレベルで持っている人が少ないように思う。

まず英語として眺めると、ビジターが自らの意志でウェブサイトへアクセスするべきものを "visit" などと命令形で表現するのはおかしい。日本語で言えば「訪れやがれ」と言っているようなものだ。また、"service site" を「オンライン・サービスのウェブサイト」という意味で使うのは日本人だけであろう。英語の普通の感覚では、"service site" というのはデイ・ケアのような医療とか福祉サービスの事業所だとか、ゴミを収集してもらうのにゴミ袋やゴミ箱を置く所定場所のことだ。少なくとも "site" というのは場所のことであり、オンラインの URL やウェブサイトを意味するなら正確に "website" と書くべきである。

そして、タイポグラフィの観点から言うと、人にアクションを求める場面で capitalized なフレーズを使うというのは、まるでトランプ氏のツイートと同じで、大声で喚き散らしているようなものである。寄ってらっしゃい、見てらっしゃい・・・いや、コンテンツ・ケーケティングの理屈から言えば、そんな押しつけがましい《広告》など魅力や説得力がなければウザいだけだ。英米圏で制作され運営されているサイトを見れば、大多数のサイトでは、ビジターがクリックできる要素に capitalized なフレーズなど使われていないということが分かるだろう。せいぜい、"NEWS" のようなカテゴリーを表す短い名称に使われているくらいである。そもそも、フレーズ全体を大文字だけで表記するのは下品なのだ。イメージとして言えば、教育水準の低い人物が紙に殴り書きしているような風合いなのである。

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