Scribble at 2026-09-24 17:54:03 Last modified: 2026-09-24 19:02:47

英単語の語彙を増やす方法などと言って、やたらと本を出版するのが、あいかわらずこの国のインチキな連中だ。はっきり言って、そんな本を続々と出しているのは日本だけだと言ってもいい。もちろん、出版文化なり出版産業が成熟しているので、カスみたいなやつが書くゴミのような本でも簡単に出版できてしまうという事情もあるわけだが、それに加えて日本に特有の英語教育産業のビジネス・モデルという理由もあって、僕が当サイトの「英語の勉強について」という論説で色々と書いている理由の一つは、こういう愚劣なビジネス・モデルに引っかかる人を減らしたいという動機なのである。大切なのは、当たり前のことを当たり前に考えて是々非々に判断するということだ。そのために、なるほど「哲学」と呼ばれている何かが関係あるのかもしれないから、僕がそういうアプローチで既存の英語教育産業を批判するのも当然なのだろう。

さて、では英単語の話に戻すと、「英語の達人」だの何のとマスコミや業界関係者に内輪褒めされているだけの大学教授とか翻訳家とか YouTuber の言うことなんて、はっきり言って無視してもいい。そういう「ギョーカイ人」の言うことなんて、しょせんは自分たちの既得権益を基準に結果論や後知恵で個人的な体験談を「学習法」だの「教育論」だのと語っているだけであり、たいていは無益であるどころか有害だからだ。

それに比べて、僕らのような人間に言わせれば話は簡単である。語彙が多いというのは、つまり何かを言い表すために色々な単語とか熟語を知っていて使えるということだ。そのため、「一日に幾つずつ単語や熟語を覚えましょう」などと言うってだけなら、そんなのは小学生でも言えることだ。東大教授の地位なんていらないし、文学作品の翻訳で出版文化賞を授与されたという経歴も必要ない。ガキでも言えることなのだ。そうではなく、ここで重要なのは、その「色々」とは何かである。僕らは生活していて、何かの色を言ったり書いたり見聞きするときに、「白」と「黒」しか知らないのでは役に立たないことを知っているだろう。だからこそ、「赤」とか「青」とか他の色の名前も知っていなくては困るのだ。英語にかかわるチンピラ教育者どもや、無能な大学教員の言っていることが愚かしいのは、こういう単純な事実をしっかり理解しないからなのである。そして、「覚えておいた方がいい、あるいは覚えるべき」単語をリストとして並べて、それを覚えたら英検何級に合格するとか、アメリカの大学に入れるなどと言う。でも、僕らたいていの人間が言葉を覚えようとする動機や事情や理由や目的は、ハーヴァード大学に入るためでもなければ、英検1級の YouTuber となって小銭稼ぎするためでもない。何かを学んだり知ったりして、自分が何かを考えたり始めたりするにあたって理解できている範囲を広げるためだ。そして、そのためには単純に新しい色の名前を覚えるといったことだけではなく、自分が理解していなかった背景知識だとか脈絡だとか社会的な慣習なども合わせて習得しなければ、自分が知らないという事実にも気づかない。社会人として外国語を学ぶためには、幼児のように習得するプロセスを英語習得の理想にしてはいけないのだ。

つまり、自分が必要だと感じたり足りないと思うことを学ぶとともに、それを表現する英単語や熟語を覚えていけばいいだけなのである。しかし、日本の英語教育産業の連中は、そこを踏み外したまま、「どの英単語や熟語を覚えるべきか」ということを、自分たちの都合だけで決めてしまう。いわく、コーパスの上位何千語だとか、アメリカの新聞に頻出する表現だとか、僕らがそれぞれ異なる事情や目的で英語を学ぼうとしているという明白な事実を、そういうお題目で塗りつぶして、僕ら自身からも見えなくしてしまうのだ。それゆえ、多くの人は自分が何を知るべきなのか、本当は分かっている筈なのに、分からないかのように騙されてしまうのである。たぶん、出版事業に携わっている人々には「騙す」というほどの自覚や悪意はないのだろう。無能だからだ。でも、その無頓着さや無能こそが多くの人を誤った道に進ませるのである。

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