Scribble at 2021-10-12 15:58:38 Last modified: unmodified

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中田信哉『ロジスティクス入門』(日本経済新聞出版、2004、リンクは第2版)

ご承知のとおり、日本では「物流」という言葉がある。これに対して「ロジスティクス」はどう違うのかという話を、冒頭の50ページほどを使って延々と議論しているのだが、どうもクリアでない印象が強いし、現実のビジネスと関係のない話をしているように思える。ぶっちゃけ、「物流」とは物を運ぶ活動なり様子のことを言っているだけであって、それを管理する「ロジスティクス」と意味が違うなんてことは、直感的に言って当たり前のことではないのか。それを、同じようなものとして混同しているかのように話を展開してしまっているのは、著者自身であるように思える。つまり、理屈ではこうだという normative な意味と、実際の意味はこうだという descriptive な意味という対比に加えて、歴史的な経緯として normative な意味が変遷してきた事実を概念として整理せずに叙述しているため、通時的な議論と共時的な議論とが混乱してしまっている(というのが一般人の現状であるにもかかわらず、著者自身が同じ混乱を起こしている)。

よって、僕が読んで参考になったのはここまでである。ここから後のロジスティクス・マネジメントに関する内容は、ぶっちゃけネットベンチャーの人材としては、自社のマネジメントについて参考になることは殆どなかった。それに、もっと広い SCM (Supply Chain Management) の中にロジスティクスをあてはめて知っておく必要があるなら、もっと体系的で詳細な専門書を読むべきだと思うので、最初の50ページだけで読んだ価値は(皮肉なことに)あったと思う。

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