Scribble at 2023-03-06 11:33:53 Last modified: 2023-03-06 13:05:04

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How to hire engineering talent without the BS

採用が昔から非常に難しいタスクであり、実際のところ「人手が足りない」といったバカげた理由だけで採用活動を始めることすら工数や思考力の無駄になる恐れがあるということを、毎年のように数百人の新卒を迎えては「歩留まり」しか計算していない大企業の人事部なんていう、実際には社会心理学の学位すらもっていない素人集団だけでなく、3人程度で仕事を切り盛りしている零細企業のオヤジ経営者にも考えてもらいたいわけである。

著者が紹介しているように、奇をてらった採用面接というものはだいたいにおいてデタラメなものである。IT企業の珍しい面接手法などとして馬鹿がせっせと日経関連のメディアで紹介しているような面接は、「手法」とすら呼べないようなものである。よって、Google やマイクロソフトがどういう奇抜な設問で採用面接を実施していようと、その結果として僕らはクズみたいなサービスをこれまで使わされてきたという事実だけが残る。そら、出鱈目な方法で採用した連中が設計したりプログラミングしたサービスなのだ。ロクでもないものばかりで、すぐに「選択と集中」というフレーズによってゴミ箱行きだの「サ終」となるのは当たり前である。著者がまったく正しく書いているように、"There is no advantage to creating a surprise factor." である。

また、"A mountain of research-backed evidence shows that unscripted conversations are ineffective and lead to biases, interviewer idiosyncracies, and reduced hiring accuracy." と、いくつもの資料にリンクしながら強調されている点も重要だ。得てして「オープン」だのアットホームだのと公言する会社に限って、採用面接でデタラメなただの会話を続けており、その結果としてだらしのない人材ばかりを「コミュりょく」だの何のと、自分で正確に理解して測定できもしない指標で採用したかのような自己欺瞞に陥る。

このように、短いエッセイだが有益なポイントが紹介されている良い記事だと思う。

一点だけ残念なのはタイトルだ。タイトルを見るだけだと、"without BS" なんて考え方は、別の意味の偏見であって、それは単に "with PhD" という偏見を逆向きにしただけではないかと思われてしまう。著者の趣旨としては実質的に成功する採用の条件を議論したいらしいので、このタイトルは良くないと思う。"without BS" なんて、彼にとっては言いたいポイントじゃないんだから、この表現は中身をまじめに読んだ人であればなおさら、clickbait なタイトルを付けていると反感を持つ可能性があろう。

それにしても、Homebrew の作者(マックス・ハウエル)を Google が面接で(しかもバカげた理由で。"Google: 90% of our engineers use the software you wrote (Homebrew), but you can’t invert a binary tree on a whiteboard so fuck off.")落としていたとは知らなかった。

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