2022年05月19日に初出の投稿

Last modified: 2022-05-19

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Alt-Tab

alt + tab のショート・カットは、いまでは多くの人々にとって当たり前のように使っている機能だろう。しかし、これが本当に自分の望んでいる挙動を実現しているのかどうかと考えてみることも必要だと思う。例えば、僕はメール・クライアントでメールを書くときに、ブラウザとかテキスト・エディタとか他のアプリケーションからテキストをコピーしてメールの編集画面へペーストすることがあって、メールの編集画面のウィンドウとブラウザのウィンドウとを alt + tab で切り替えて操作していて、メール・クライアントの親ウィンドウにフォーカスが当たらないように避けながら alt + tab でウィンドウの選択を切り替えるという操作を、それこそ Windows を使い始めた25年以上も前から、ずっと無駄な動体視力と判断と手間だと思ってきた。いま俺に必要なのは、これとこれだけだ。実体のある机の上で作業しているなら、邪魔なものも含めて全ての道具を手に取って「えーと、次はこれ・・・」などとやるわけがない。いまやることにとって邪魔なものは、端的に無視できるのだ。しかしコンピュータでは(少なくとも alt + tab の切り替えでは)それができない。

ただし、alt + tab はそこまで単純に作られてはいない。ご承知のように、フォーカスを切り替えた履歴から、alt + tab の切り替え対象に優先順位をつけてはいる。よって、最初に「必要 A - 不要 - 必要 B」と並んでいるタスクの中から必要なタスク B を選択すると、次回からは「必要 B - 必要 A - 不要」として優先順位が切り替わるようになっている。よって、要不要の判断の一部はサポートされていると言える。でも、そもそも僕が何十年も困惑させられているのは、〈最初にそういう履歴が残るように〉必要なタスクを選んで Windows に教えるという作業を、いったいどれだけ繰り返したらいいのかということだ。

考えてもみれば、それは当たり前ではある。OS は、何が大切で必要なのかを判断できないからだ。仮に、alt + tab の仕様を変更して、「親ウィンドウから子ウィンドウが生成された場合は、別のプロセスと、その子ウィンドウだけを alt + tab での切り替え対象とする」としたらどうか。これはこれで、逆に使い辛いと感じるケースもあるだろう。もちろん、どうするかをユーザが選べるようにするという、これはこれで表面的に「ユーザの自由」だの「ユーザビリティ」だのという、たいていは底の浅い理解しかされていないスローガンに適う仕様に変更しても、実は端末ごとに挙動が変わるという混乱を引き起こす恐れがある。ユーザビリティは、デザイナーの多くが信奉するアフォーダンスに対立することがあるのだ。

もちろん、こういう状況がそもそも起きないようにする工夫はいくつかある。その最も劇的な選択肢の一つは、マルチ・ディスプレイや巨大な画面のモニターであろう。僕も会社でマルチ・ディスプレイを使ってみたことがあるけれど、なるほど慣れると快適だ。そもそも alt + tab でタスクを切り替える必要があるのは、作業するにあたって標準的なサイズのウィンドウを何枚も並べられないため、マルチ・タスクで複数のアプリケーションを起動しているときは、どうしてもウィンドウを一つだけ表示して作業せざるを得ず、他のタスク(つまり他のアプリケーションのウィンドウに表示されているもの)へ切り替えてテキストをコピーしたり、あるいは単純に表示されているものを眺めるということですら、ウィンドウそのものを切り替えて表示する必要があるからだ。マルチ・ディスプレイだと、作業に使えるサイズのウィンドウを中身が見える状態で並べて表示できるため、表示を切り替えるという操作そのものが不要となる。

しかし、残念ながらこれでも上記で述べたような、不要なウィンドウにフォーカスが当たってしまうという問題は解消しない。他のウィンドウに表示されているテキストをコピーするような用途でタスクを alt + tab で切り替えるという用途では、ウィンドウに表示されている内容がタスクの切り替えなしで一覧のもとに見えるようになっても、不要なウィンドウにフォーカスが当たってしまうという問題の解決になっていないのだ。ウィンドウの内容が見えていようといまいと、「いまの作業ではいらないタスク」をどうやってウィンドウ操作のショートカットから除外するかという問題は、「いまの作業ではいらない」という条件を機械的に決定する方法がない以上、何らかの複雑なオプションをサポートする以外に解決できないだろう。たとえば、Windows 11 では通知領域(Windows 11 から「タスク バー コーナー」という名称になっている。元が英語だからだろうが、日本語表記に半角スペースを使うのはどうかと思う。従来は「システム・トレイ」などと呼ばれていた箇所だ)に表示するアイコンを「オーバーフロー」という設定項目で選択するようになっている。これと同じように、起動したプロセスのタスクからフォーカスを当てる対象(そして複数なら alt + tab の切り替え対象)を選べるようにして、その選択を履歴として維持するようにしておけばいいかもしれない。

いまでは互換シェル(shell replacement)や Linux の GUI シェルから影響されて、Windows にも「仮想デスクトップ(virtual desktop)」がサポートされるようになっている。そして、alt + tab のオプションとして、全ての仮想デスクトップのタスクを切り替えの対象にするかどうかを選べるようになっているため、Windows が個々のタスクをコントロールして切り替えの対象とするかどうかも判定しているのは確かだ。よって、前の段落で述べたように、個々のタスクを切り替えの対象とするかどうか選べるように、そして選択した事実を次回の起動でも適用するために設定として保存したりもできるはずだろう。

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