Scribble at 2023-12-06 08:19:15 Last modified: 2023-12-06 16:46:45

僕が「ファイナルファンタジー」というゲームのシリーズに魅力を感じなくなったのは、いつ頃からだろうか。もともとは、『ファイナルファンタジーIV』をプレイするためにスーパーファミコンを買い、『ファイナルファンタジーVII』をプレイするために初代の PlayStation を買ったと言えるほどだったのに（ドラクエもプレイはしていたが）、いつごろからか世界観や人物設定などに魅力を感じなくなって全くプレイしなくなった。確かに、ここ最近でも『MEBIUS ファイナルファンタジー』はサービス終了までプレイしたし、『ファイナルファンタジー XIV』も無料でプレイできる範囲でプレイしたこともあったけれど、あまり印象に残っていない。ただ、これは「ファイナルファンタジー」シリーズを批判しようとして書いているわけではない。なぜなら、僕がゲームとして魅力を感じなくなったのは「ドラゴンクエスト」シリーズなどについても同様だからである。そして、こう書いているからといってゲーム全般に興味がなくなったと言いたいわけでもない。包み隠さずに言えば、これまで10年にわたって『ファンタシースターオンライン２』（New Genesis も含む）をプレイしていたし、最近のゲームでは『黒い砂漠』やら『アズレア』といったゲームもやったし、いまでも『Undawn』というゲームを細々とプレイしている。これでも、友達の家でブロック崩しや、ダイヤルのコントローラでプレイする家庭用のテニス・ゲームなど、1970年代からデジタル機器で半世紀近くもゲームを楽しんでいるし、もういまではゲームをプレイしているくらいのことで子供扱いされるような時代でもあるまい。昭和10年代生まれで５年前に亡くなった僕の母親ですら、一時期はスーパーファミコン版の『モノポリー』にハマって、プレイ回数のカウンターがストップするほど熱を入れていたことがある。

それでも、こういう記事を見かけるとつまんない宣伝だとしか思えなくなった。特に、ゲームについて何の経験や見識があるわけでもない雑読屋のような人物が称賛していても、ぜんぜん説得力がないんだよね。あんた、ダルシムでベガを倒したりできるの？（スーパーファミコン版の『ストII』をまともにプレイできるかどうかの判定基準として、当時はよく言われたセリフだ。）正直、マイクロソフトの元社長とは言っても、日本のマイクロソフトは IBM などとは違って開発体制が全く無い、ただの SE（技術営業）集団だ。Windows についても Office についても C# についても、せいぜいやってることは MSDN 文書の翻訳くらいであろう。また、この人物は経歴として銀行の社外取締役としても紹介されたりするようだが、その銀行とは「金よりも不祥事を蓄えている銀行」として有名なスルガ銀行だ。そんな銀行の役員を20年以上も続けているということは、要するにお飾り、つまりガバナンスやコンプライアンスの担保として役に立っていないと宣伝しているようなものである。特に工学系の学部を出ていたり、僕のように独学で情報科学の素養や経験や技術を積み上げたわけでもなく、パーソナル・コンピュータの業界の勃興期にどさくさで営業をやってただけの人物を、（毀誉褒貶はあれ）西和彦氏のような人物と見境なく扱ったり文化人扱いするのは、どう考えてもメディアの見識が低いとしか思えないね。

この国は、どういうわけかは知らないけれど、たかだか大企業の元経営者とか官僚だとかが歴史やゲームやスポーツや文学などに手を出すだけで、何か文化人扱いしようとする変な傾向がある。でも、本当に文化や学術に関心があって一定の素養をもっている人物であれば、自分がそれに手を出しているくらいのことで文化人扱いされるのは困ると思うはずなんだよね。たとえば、日本の民俗学に裏から多大な貢献をした渋沢敬三氏のような人物は、自ら手掛けた著作などはあるがマス・メディアに学者や文化人として取り上げられるようなことはなかったし、自らもそういうことは避けていたと思う。