Scribble at 2023-01-19 18:28:24 Last modified: 2023-01-20 10:48:41
GORO さんの動画とかを見ていると、vegan 系の素材を使ったプレシェーヴ・オイルとかを紹介している割には替刃式の直刃剃刀という、どう考えても資源の浪費としか思えない用具を愛用していたりして、あれはどういうことなんだろうかと思ったりする。理由として、替刃式にすることが衛生的だし、アメリカでは替刃式でないといけないみたいな話が紹介されていたりする。
直刃剃刀の運用について、アメリカでは法的な理由で替刃式の剃刀しか使えないみたいな話を、他の理容師が書いているブログ記事とか YouTube の動画でも見聞きすることがあるけれど、本当だろうかと思って調べてみた。すると、まず感染症対策というのは昔から言われていて、理容室では消毒が義務付けられた。そのときに、シェアが落ち込んでいた straight razor の業界では対応に遅れてしまい、autoclave のような装置を使った高度な消毒に耐えられない炭素鋼と呼ばれる素材で straight razor を作り続けていたせいで、そのタイプの剃刀は使えないという話になり、やがてはステンレスなど他の素材を使った剃刀まで一緒くたに使えないかのような誤解が広まったらしい。つまり、法律で求められているレベルの滅菌消毒に耐えられる素材を使っている限り、straight razor を使っていけないなどと書いている州法は(ロード・アイランドを除いて)殆どないということのようだ。
日本ではどうかというと、まず真っ先に確認すべきなのが「理容師法施行規則」(平成十年厚生省令第四号、施行日: 令和三年四月)であろう。ここには、第25条第1項で剃刀の消毒方法として、以下の三つのどれかを実施しなくてはならないと規定されている。
イ 沸騰後二分間以上煮沸する方法
ロ エタノール水溶液(エタノールが七十六・九パーセント以上八十一・四パーセント以下である水溶液をいう。次号ニにおいて同じ。)中に十分間以上浸す方法
ハ 次亜塩素酸ナトリウムが〇・一パーセント以上である水溶液中に十分間以上浸す方法
逆に言えば、これをやっていれば替刃式の剃刀を使う必要はない。もちろん、処置しているあいだは剃刀が使えないため、同じタイプの剃刀を何本か運用して回さなくてはいけないわけである。それは、恐らく気にしなくてもよいだろう。たいていの理容室では同時に二人や三人に施術していたとしても、同時に顔を剃るなんてことは滅多にないだろうし、席が3台の店なら3本の剃刀を用意しておけばいいだけだからだ。