Scribble at 2023-01-07 10:20:32 Last modified: 2023-01-07 16:01:51

ここ数日で矢継ぎ早に過去の記事を公開した。かつて公開していた記事に手を入れて再公開しただけでなく、昨日の公開だった Tumi's 3D Metallic Cursor のページは昨日の作成である。このマウス・ポインタについては、もっと以前からご紹介するページを作って公開する予定だったのだが、やはり Tumi 本人についての情報が殆どないままだったから、コンテンツとしてどうしたものか考えあぐねていたわけである。ただ、既に記事の中で明言したとおり、不必要に作者の情報を詮索して公開する意図はないし、それを知ったところでどうにかなるものでもない。これは、かつて考古学者としての将来を期待されてもいた人間として言うが、いわゆる「インターネット考古学」というアプローチについても当てはまるとおり、過去の事実を知ることは大切だが、たとえ事実であろうと知らなくてもいいことや、公表しなくてもいいことというのはあるのだ。よって、作者への敬意を払うだけにとどめておくべきなのだろう。とは言え、いま公開したばかりの記事ではマウス・ポインタそのものについての説明とか、20年以上も使ってきた僕の感想が不足しているように思うので、これは後に追記することとしたい。

さて、もちろん他にも調べたり検討しつつ記事としてご紹介したり論じておきたいテーマというのは、自分で哲学者を名乗ってるくらいだから当たり前だが、いくらでもある。いま進めているのは、既に公開している場合の数(組合せ論)の続編なのだが、8割くらいまで書けた実感があったけれど、いったん全てなしとしたので、最初から書き直すこととしている。もともとは組合せ論や場合の数だけがテーマではなく、数学の授業や数学の参考書や大学テキストの解説が腑に落ちなかったり理にかなっていないように思えるのはなぜなのか(まぁたいていの数学者や数学教師が日本語の運用者として無能だからだし、それどころか自分自身がやることに論理的な思考を応用しない口先だけの計算マニアだからなのだが)という強い憤りのような感情から始まっているので、他にも対数の解説がどうして腑に落ちないのか(「指数の逆演算」と言われただけでは、対数を使った操作が直感的にできるようにはならない)とか、テーマは昔から幾つもあったのだ。

それを論説として書こうとしたきっかけは、当サイトで扱っているシャミアの秘密分散を解説する目的で彼の原論文を読み始めると、冒頭に出てくる Liu の著書からの組合せ論を使った事例が大変に分かりにくいものだったので、これでは僕自身が納得しかねると思って Liu の著書に当たってみると、はっきり言って「良書」と言われている理由が全く理解できないくらいの雑な本だったことが分かったのである。冒頭の事例を丁寧に説明できないのでは、どうして秘密分散というアイデアが必要なのかをクリアに説明することはできない。秘密分散の具体的なテクニックは、もちろん組合せ論ではなく数値解析のラグランジュ補間なのだが、僕が知りたいのは或るテーマについて取り組むための手法ではなく、どうしてそれをテーマにしたのかという方だったから、どうしても組合せ論としてクリアに説明したい。

ただ、高校では場合の数、そして大学では組合せ論となるテーマの解説を眺めていると、大別して (1) 確率論の基礎として予定調和的に導入するパターンと、(2) ものを数える場当たり的なテクニックの羅列というパターンのどちらかになってしまう。後者は特に高校数学の参考書や大学のテキストでも工学的なアプローチの本に見受けるパターンであり、奇妙な事例を使って説明されていることが多いために啓蒙書にも同じようなパターンはあるが、はっきり言って下らない。数学という学問で博物学をやるつもりはないので、場当たり的なテクニックをあれこれと紹介してもらったり、それこそ「数学的センス」の持ち主だけがやっていればいいような頓智の類は、少なくとも僕がやりたい(皮肉にも初等的なレベルの)数学では不要である。数学プロパーやプロの教師やマニアは頓智をやっていても論文が書けたり、予備校で教えられるかもしれないが、論理的な思考を軸にするべき学習者に頓智は必要ないのである。

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