Scribble at 2021-10-11 17:54:01 Last modified: 2021-10-11 17:55:58
ゲーム理論の通俗書と称しているが、ゲーム理論に関わる話題を、戦略、均衡、リスク、不確実性、インセンティブ、コミットメント、ロック・イン、シグナリング、スクリーニング、逆選択、モラル・ハザード、オークションのようにならべて解説しているだけである。よって、ゲーム理論の概説書ではお馴染みの五目並べみたいな表も殆ど登場しないし、ましてや数式は全くない、敢えて言えば用語解説だ。
一つ一つの項目がたくさんの(繰り返しが多すぎるほどの)事例紹介も含めて丁寧に書かれているため、用語解説としては有用だと思う。しかし本書には、現今の状況において推薦するだけの価値がある本だと言い難い決定的な欠点がある。それは、一読した方はすぐに分かると思うが、ともかく出てくる事例の大半が、男女の駆け引きやシモネタばかりなのだ。恐らく、著者が東大の教員なら書かないような本である(京大には、どういうわけかこの手の下品な伝統があるらしい)。