Scribble at 2024-06-09 17:40:24 Last modified: unmodified
伊丹十三氏と言えば『マルサの女』といった映画でも有名になった映画監督であり俳優としても知られた人物だったが、彼の父親である伊丹万作氏も多才な映画監督であった。伊丹十三氏は六十代で早くも亡くなったわけだが、彼の父である伊丹万作氏は40代で亡くなっており、いまでは彼の一部の映画作品や文章が残されるだけとなっている。
ただ、彼のエッセイは(皮肉なことに早く亡くなったので)既に著作権が失効しており、青空文庫で読める。そして、その中でも有名なエッセイが、上の「戦争責任者の問題」という短い論説である。短い論説だし、後半は特定の団体とのやりとりという些末な話も入っているわけだが、この文章の主旨はもっと重要な論点を示しているので、当サイトでも僕の批評と合わせて掲載しようかと思う。それくらい、多くの人々の目に触れて良いだけの価値がある文章だと思うからだ。尤も、当サイトでも掲載したからといって、読む人がさほど増えるわけでもないのだが。
もちろん、だからといって過去の著作物をいたずらに過大評価するつもりはない。実際、重要な論点を指摘しているエッセイではあるが、色々な意味で問題もあろうと思う。そういうことも合わせて取り上げるにしても、やはり物事を考えるためのきっかけとしては価値があると言って良い。