Scribble at 2024-06-10 10:26:57 Last modified: 2024-06-11 07:02:26
僕はアニメ・オタクではないから、この辺の業界事業というものには疎い。YouTube で『アニメ夜話』などを観ていても、産業あるいはファンやオタクも含めたコミュニティとしての業界については、殆ど分かっていないので、この GAINAX という会社も、岡田斗司夫らが創立したアニメ制作会社だったとか、GAINAX が制作したという幾つかのアニメ作品を知っているけれど、僕自身は『オネアミスの翼』や『ナディアの海』は実は一度も観ていない。なので、そのへんの中小企業が一つ倒産したという事案と大して受ける印象は変わらないのだけど、こういう記事で倒産に至る経緯を読むと、かなり異常な経営状況だったことは分かる。
ただ、この記事についてよく見受ける論調として、アニメのことを分かっていない人が役員として入ったり社長になったということだけを批評している人がいるけれど、それは企業経営を理解していない素人の意見だ。アニメやアニメ業界が好きなのはいいけれど、だからといって、アニメ制作会社の企業としての経営までオタクが知っているなんてことは、およそありえない。岡田斗司夫氏が知っているのは、現実に企業の経営者だからであって、オタクだからではないのだ。そして、企業経営の経験があるアニメ・オタクが、そしてそういう人たちこそアニメ制作会社を適切に経営できる資格や才覚があるかと言えば、そんなことはぜんぜんないのである。
何かの人間関係で引き入れられた役員が、その会社の事業についてぜんぜん素養がないというのは、割とよくあることだ。だって、上場企業のガバナンス・コードとして推奨されている社外取締役なんて、たいてい門外漢だ。先日、パソコンの周辺機器メーカーである Buffalo を傘下にもつメルコ HD の社外取締役として大塚家具元社長の大塚久美子氏が加わったと報道されていたが、家具屋の娘が電子機器メーカーの社外役員になるなんて、MBA さえ持っていれば、別に海外も含めて珍しいことではない。それに業界との人間関係が逆に希薄であるという理由で、社外役員に求められる独立性が担保できるという利点すらある。なので、アニメ業界に疎い人が役員になったり社長になってもいいのだ。でも、それは本来の役割である企業経営において有能であるという、業界知識の無知を上回る利点があってこそである。
この点について、上記の記事だとか、あるいは YouTube で配信されている岡田斗司夫氏の動画、それから今後の知財の受け皿となるカラーの庵野秀明氏の公開文などを見るに、まあまあ「ヤバい人」が入り込んでしまっていたという印象はある。岡田氏が言うような反社との関わりは分からないし、本当にそんな情報を持っているなら動画で言う訳もない筈だから(そして、いまでも岡田氏が行方不明になったとか暴漢に襲われたいう話は聞かない)、ブローカーとして裏の顔をもっている人物であったということまでしか分からない。どのみち、記事で言われている性加害だけではなく、別会社を勝手に立ち上げて GAINAX の知財を利用した違法行為の舞台にしていたという点でも特別背任には問えると思うので、どのみちこの人物は社会的には終わりであろう。ちなみにガチで言うと、ヤクザっていうのは、こういう脇の甘い(特に風俗関連でバレる)チンピラは末端でも使わないと思うんだよね。こういう、どうでもいいようなことで自分たちとの関連が警察とか検察とか公安とか国税に勘ぐられるのは損なだけだからだ。