Scribble at 2020-09-01 23:04:21 Last modified: 2020-09-02 09:17:57

今日は久しぶりに出社したので、帰りにジュンク堂へ立ち寄って幾つか確認したり、あるいは何冊かを購入した。

以前、アマゾンで業界地図を見かけなくなったとここで書いたが、実際には B5 版の業界地図が毎年のように発売されていて、会社四季報版と日経版の二つでシェアを圧倒している。ただ、僕が持っていたような文庫版はいぜんとして見かけない。ともあれ、こういうものは話題の材料としてたまには買って目を通しておきたいので、B5 版だが会社四季報版を買った。特に日経版との目立つ差は分からないのだが、日経版は図版の内容にメリハリがなく、しかも企業の枠の大きさが業容を表しているのか売上高を表しているのか、いまいち分かりにくい。また、グループ企業や関連企業のまとめ方も会社四季報版に比べて分かりにくいと感じた。

次に、量子コンピューティングの解説としてはブルーバックスを始めとして何冊か目を通しているのだが、今年になって翻訳された『みんなの量子コンピュータ』は数学的な説明を丁寧に書いていると好評らしく、実際に眺めると確かに堅実な説明の仕方だと思ったので、手に入れた。それに、概念の説明だけなら量子力学の本を読めばいいわけで、コンピューティングの本であれば数学的な説明だけではなく計算との橋渡しを加味した内容でないといけない。

それから PHILSCI.INFO で取り上げた本の話なのだが、新刊として出ている認識論の入門書について目次を見た限りでは formal epistemology とか Bayesian epistemology が欠けているように思えたので、そういう分野を割愛したなら理由を知りたいと思って、実際に書店で序文を眺めてみたのだが、特に何も書かれていない。この手の話題は belief revision などとも関わるため、何か特別な理由もなく無視してよい話題ではない筈だが、やはり出版業界の不文律などと適当に言われることがある「数式が1つ入ると読者を100人失う」といった判断ゆえなのだろうか。

他に、ocean debris (marine debris, marine pollution) の本を見ると、とにかく日本ではプラスティックの話ばかりしている。これは、僕が高校時代から「拡大象徴主義」などと呼んでいる、マスコミ・出版業界の横並び主義や同調圧力、あるいはアンカリングの認知バイアスとも言える傾向の一つだ。何か「キャッチーな」キーワードや話題が世間の注目を集めだすと、それについての出版とか報道ばかりが増える。そして世間の関心が収まると、関連する話題全体が完全に無視されるようになる。よって、プラスティックの話が関心を集めなくなったら、おそらく海洋汚染という話題そのものが無視されるようになるのだ。よく、「ネットいなご」などという言葉が使われたこともあったけれど、そもそもマス・メディアとは昔から「いなご」のようなものなのだ。

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