Scribble at 2024-08-16 20:16:49 Last modified: 2024-08-17 15:16:43
アリシア氏らは、マスク氏が買おうとしているものをわかってもらおうとしたものの通じず、「そういう考えなら、お金のことを伝えよう」と、Twitterのデータセンターの効率性に関する技術的な説明に切り替えたのですが、途中でマスク氏に「私は90年代にC言語のプログラムを書いていました。コンピューターの仕組みは理解しています」と遮られてしまったそうです。
1年半の記事に、こんな逸話が載っていた。そして、僕が現今の「エンジニア」や「プログラマ」と称するウェブ・アプリケーションの開発者やコーディング・スタッフの自意識に強い違和感を覚えているのも、上に引用したマスクの自意識と似ているからだ。要するに、どちらもアホだからである。
簡単に言えば、C 言語でプログラミングできるていどのことで「コンピュータの仕組み」が分かっているなどと言うのは思い上がりもいいところだし、コンピュータ・サイエンスの基本が分かっていない未熟な知識しかない証拠だ。事実、C 言語が書けるていどの人は世界中にたくさんいるが、その中で OS について(いや、それどころか Linux のシステム・プログラミングについてすら)学部を卒業した人間と同じていどに理解している人は、もちろんもっと少ない。OS に関してコンピュータ・サイエンスの学部生と同等の知識をもつというのは、応用情報技術者試験の合格ていどでは不十分だからだ。実は応用情報技術者試験の有資格者というのはわからない。有資格者が毎年のように腕試しとして受験するケースも多いからだ(それを拒否することはできない)。しかし、いずれにしてもベンダーの社員ならともかく、ウェブ制作会社のコーダやプログラマの多くが IT パスポート試験すら合格するかどうか怪しい知識であることは(少なくとも20年に渡って取引先などで見聞きしてきた僕の経験から言っても)明白だと言えるし、富士通や IBM といった IT ゼネコンで Java や C を書いて僕らの数倍の給料をもらっている生体部品のお歴々にしても、その多くは高校レベルで教わるていどの数論も知らずに採用されている人々だ。こういう人々の全てどころか大多数が OS についてコンピュータ・サイエンスの学部生と同じレベルの素養をもっているとは(もちろん例外的に興味を持って学んでいる人もいるとは思うが)、とうてい言えない。
そして、これはまだ第一段階だ。「コンピュータの仕組み」が分かっているとは、もちろん OS について理解しているだけでは全く不十分であり、更には論理回路や半導体工学なども知っている必要がある。したがって、当たり前だが数理論理学や量子力学は基本となる知識であって、これらを理数系の学部で学んでいる学部生と同じていどに理解していて、初めて「コンピュータの仕組み」が理解できていると言える。もちろんだが、詳しい知識については理数系の学部生に及ばないかもしれないが、僕はこういう知識の全体像が見通せているからこそ、マスクの発言が無知無教養の自己紹介であると言えるのだ。資産を何兆円もっていようと、アホはアホである。
そして、お金をたくさん持っているアホが何を言おうとどうでもいいが(X がなくなろうと、自動運転の車が実現しないで終わろうと、あるいは衛星を使ったプロバイダ事業が破綻しようと、僕の人生にとって殆ど不利益などない)、たくさんいて色々な開発に従事している「エンジニア」や「プログラマ」を自称する未熟な諸君の自意識が歪んだままだと、結局のところ世の中は大量の凡人が間違った方向へ歪めてゆくのだから、われわれ哲学者や知識人や思想家というやつは、こうやって憎まれ口を叩かずには済まされないわけである。