Scribble at 2022-05-09 11:27:28 Last modified: 2022-05-09 19:00:57

報道番組や討論番組、あるいはドキュメンタリーでもよいが、すごくよく聞くセリフがある。やれ、社会が複雑になったとか、若者が分かりづらくなったとか、犯罪者の心理が理解しにくいとか。でも、それって学者に他人の心情とか境遇を理解する力がなくなってたり、理論としての解析能力が低下してるってだけの話ではないのだろうか。

「社会の複雑化」とやらが本当に起きているなら、それを検知・測定・解析・解読・分析・理解・記述・議論する社会科学のツールやノウハウも、いっしょに向上したり精緻に進展していかなくては、それこそ学問の方が現実に取り残されるという状況になろう。また、犯罪心理とやらが昔と今とで(表面的なところでは違いがあっても)大して変わっていないにも関わらず、またそれらを測定したり解析する理論的なツールやノウハウも進展していながら、それを扱う研究者のリテラシーとか人としての経験とかが不足していると、〈そこから何が言えるのか〉がぜんぜん未熟なままで終わってしまうという可能性だってある。

とりあえず、社会科学に身を投じている人間が「社会の複雑さ」とか「現代の闇」とか「多様化」とか簡単に言うなと思うね。

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