Scribble at 2020-06-11 12:42:41 Last modified: 2020-06-11 15:42:38

日本では、社会学者や運動家とされる人々が個々のテーマに沿ってサイトやブログを開設している事例はあるのだが、人権とか差別といった話題について「全般」というか総論を扱うサイトは非常に少なく、またそういうことに関心をもって取り組む人も少ないだろうと思う。そもそもこのような活動は差別されたり不利な立場にある人たちは、経済的にも不利であることが多いため、いちいち啓発的なウェブサイトを制作して運営するなんて手間やお金はかけられない。ましてや、自分の具体的な境遇に困っている人が「差別全般」とか「人権全般」についてのサイトを作ったり運営する理由も必要もないだろう。抑圧されている側の人たちにしてみれば、自分が置かれている境遇を改善するために何かができればいいほうであるし、それ以上のことをわれわれが不利な人々に期待したり要求するのは、それ自体が抑圧的な態度というものであろう。

よって、少なくとも生活するにあたって著しいリスクなり脆弱性を抱えているわけではない人々が、やれる範囲でやるのが実情だろう。もちろん、これは施しのようなことではなく、やれる範囲でやっている者だって特段の金持ちでも何でもないわけだが、少なくとも警察官に街中で呼び止められて羽交い絞めにされるかもしれないなんて心配をしなくていいというだけでも、有利な立場で生きていることに変わりはない。そういうわけで、僕も何か自分なりに学びつつ啓発に参加できることはないかと思案している。ただ、特定の団体にコミットするつもりはないので、やはりオンラインでドキュメントを公開するとか、あるいは投票行動で反映させるというスタイルにはなる。

しかし、差別や抑圧や人権というテーマを取り上げると、そもそも「リソース」というものがあまりにも膨大で、このようなテーマだけでも圧倒される。紙の媒体だけでも、新聞や雑誌記事や書籍など夥しい分量の情報があるし、オンラインにもいろいろなページがたくさんある。そして、それ以上に困ったことに、たいていの報道媒体では "racism" やら "discrimination" やら "human rights" といったカテゴリーでの報道はしていないため、RSS でいろいろな報道機関のサイトから情報を集約するという作業が非常に難しい。これは、もちろん僕に言わせれば systemic discrimination or institutional racism の一つだと思うのだが、これ自体に文句を言っても現時点ではどうしようもない。なので、サイトを作るにしても「情報サイト」は無理である。せいぜい、読んで参考になった本とか論説の翻訳なり紹介をするくらいだろう。

ちなみに、昨今の状況に照らして黒人差別だけを取り上げるなどと言っているわけでもないし、実は以前も againstdiscrimination.com というドメインを取っていたことがあって、アイヌや部落差別などほかの事案も考慮して論説を公開しようと思っていたのである。もちろん、今回の大きな話題が再び機会となったことは事実だが、何もアメリカの話題や黒人の話題だけを取り上げるサイトにするわけではない。

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