Scribble at 2021-06-07 09:57:07 Last modified: unmodified
コンピュータの基本的な仕組みというのは、もうウェブ制作のスタッフとかネット・ベンチャーの社員にとっては素養でもなんでもなくなっていると言える。空気や水についての分子運動論を理解していなくても、われわれは生きるために空気や水を色々な仕方で扱えるのと同じである。よって、ここに是非や良し悪しはない。上記で紹介しているような話題も、恐らく今となっては知っていてもいなくてもどうでもいいことの一つだろう。
どうして殆どの Windows マシンでは、Windows が「C」ドライブにあるのか。「A」とか「R」ではいけないのか。もちろん、理屈では「B」でも「X」でも構わない。ストレージをフォーマットしなおして、Windows をインストールしたいドライブに好きなドライブ・レターを設定し、Windows を目的のドライブへインストールできるスキルがあれば、好きにすればよいだろう。僕も、そんなことは別に何の問題もなくできるが、敢えてそうする必要は感じないし、実は「理屈では」と書いたのは、現実にそういうことをやるとパソコンの運用に支障が起きる可能性があるからだ。その最も深刻な支障は、もちろん何らかのソフトウェアやプログラムが、Windows のインストールされたドライブを「C ドライブ」だと勝手に決めてパスなどの情報を固定している場合だ。こういう、Windows 対応のプログラミングにおける常識とすら言える API を無視してアプリケーションを開発してしまう人もいるにはいる。
さて、そういう特殊な事情はともかくとして、では市販のパソコンにあって、どうして Windows は「C ドライブ」にインストールされているのか。その理由は、簡単に言えば上記のとおり、昔のパソコンではフロッピィ・ディスクというドライブを A と B のドライブに二つ接続して使っていたため、後からサポートされるようになった HDD には「C」というドライブ・レターが割り振られたというわけである。ただし、Windows に限らず現代の OS で採用されているファイル・システムでは「ドライブ」も virtual な存在であって、一つの HDD という機器に二つ以上のドライブを作成・設定できる(UNIX/Linux のインストールでは初心者すら何度も経験するお馴染みの手順だが、パーティションの分割という操作で実行できる)。よって、「C」というドライブに相当する〈機器〉が単独にパソコンで接続・収納されているとは限らないのだが、既に慣習として OS をインストールする「システム・ドライブ」(または、「アクティブな論理ドライブ」とか「プライマリ・ドライブ」とも言う)は「C」というドライブ・レターを使ってきて、特に変更する強い理由がないというのが現状である。