2021年06月07日に初出の投稿

Last modified: 2021-06-07

開発の業界では、関数型言語だ、圏論だと、ここ10年くらいは喚いてたようだけど、それで何の業績が上がったのか。学問やってるわけじゃないんだから、仕事に使えると自分たちで宣伝しまくってた人間は実績を出すべきだと思うんだよね。いや、数学ですら同じことが言える。僕らが書店で知りうるのは、もはや毎年のように出版される通俗的な読み物か、誰が読むのか分からない非常に専門的な研究書のどちらかなのだが、どちらにしても僕らからすれば〈業績〉とは思えない。

関数型言語については、業績を上げるために「関数型言語」の書籍など読む必要はない。理論としてなら recursive function (theory) の本が数学として幾つかあるし(もちろん不十分な量と質だと思うが)、実装という話題については数多くあるプログラミング言語の本があればよいからだ。コンピュータ・サイエンスの学科でプログラミング言語の理論を専攻しているわけでもないのに、「関数型」というパラダイムの一般論だけを知っていて何になるのか。また、圏論についても大熊さんの古典的な本はもとより、この5年ほどのあいだに多くのテキストが翻訳されたため、introductory な本はもう十分だろうし、それどころか通俗的な本も Chen 氏の『数学教室 π の焼き方―日常生活の数学的思考』という良い本が既にある。ブルーバックスでも出るかもしれないが、ブルーバックスの編集部はなぜか証明、集合、論理、確率、あるいは離散数学の本を取り上げることについて消極的であるように思えるため、あまり期待していない。また、ちくま文庫の自然系レーベルは、ここ最近は重厚な古典の翻訳よりも国内の教科書の再販をしているだけのような状況にあるため、こちらもあまり期待できない。でも、初等的な勉強をするだけなら現状でもかなり充実していると思う。

ということなので、どちらにしても実績なり業績を問うて良い段階になっている筈だが、一向に出てくる様子がない。僕が伝え聞く限りでは、個々のテキストの良し悪しについて評価する声だとか、あるいは他の本は駄目なので自分が書くと豪語している人々の話だけだ。しかし、それはプロパーとして関数型言語なり圏論の見せ方を工夫するということなのだから、はっきり言えば勝手にやればよろしいとしか言いようがない。そんなことを幾らやったところで、学んだ人々が実績を出せなければ無意味である。こういう話は、たとえば僕の仕事の専門である個人情報保護マネジメントについても、Twitter などで何人かがプライバシー法制の本を書くとか何とか言っておきながら立ち消えになった事例を知っているし、またブルーバックスを読む方ならご存知のとおり、『フィボナッチの数学』というタイトルが何年も前からアマゾンに出版予定として出ているが、既に5回以上は延期されている(新書や文庫で欠番になっているものは、差別語や事実誤認などの法的な理由で絶版となる場合もあるし、このように著者がお手上げになってしまう場合もある)。

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