Scribble at 2024-07-17 07:35:53 Last modified: unmodified
むかしから "visual programming" って言われると、フローチャートの部品みたいなものをシートの上で組み合わせてプログラムを作るという、あの学研の「電子ブロック」みたいなものが一般的なイメージだと思うんだよね。そして、いま日本では愚かなことに「日本からビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズを生み出す」などと豪語する情操教育として、そういうオモチャを慶応幼稚舎のガキに使わせるのがブームらしい。でも、「電子ブロック」って1970年代から販売されていて、僕らも使ったことがあるんだけど、そんなもんを弄くり回してもプログラミングなんてできるようにはならないし、ゲイツやジョブズが業績を残せたのはコーディングのスキルやプログラムの知識があったからじゃないんだよな。根本的に間違ってると思うよ。ゲイツやジョブズとまでは言わないにしても、孫さんや三木谷さんって、プログラミングできたっけ。
そして、もちろん「電子ブロック」なんて大して使ってないけど、中学時代からアセンブラや BASIC などに触れて、還暦が近くなったいまでもネット・ベンチャーの最高技術者として圧倒的なポジションを維持してる立場から言わせてもらうと、そういう玩具で育った連中が僕の素養や実績を超えるような何かができるかと言えば、恐らく 99.999% は無理だろうと思う。それこそ、そんなコードのことしか頭にないロボット同然の連中なんてのは、先日も『ポストモーテム』という本を取り上げた落書きで紹介したように、合計で1,000社に登る巨大プロジェクトの5次請けとかで派遣のコーダになるのが関の山だ。われわれのように「システム・アーキテクト」や「IT アーキテクト」という肩書を名刺に印刷して電通の局長さんに渡して恥じない立場になるのは、120万年ほど早い。
ということで、この記事で紹介されているように、"visual" とは言っても心的イメージとして仕様を図式化しているという事例の方が多いように思うんだよね。実際の職業的なプログラマというのは。それをせめて他の人とも共有してくれということで、やっとできたのが UML やら ER 図のような決まり事だ。もちろん僕も過去に幾つかの案件でシーケンス・ダイアグラムだのクラス図だのを描いたことはあるけれど、そもそもウェブ制作会社のプログラマというのは単独で従事することが多いから、こういうものは言ってみれば「公式プロジェクト感」を演出するための道具であって、広告代理店案件では実質的な効用は殆ど無い。