Scribble at 2021-09-30 15:05:04 Last modified: 2021-09-30 16:05:15
さて次に、ミンツバーグの有名な『戦略サファリ(第2版)』を手にとったのだが、どうも読み進める気がしないので、これは図書館から借りてきたものだから返却することとした。ひとまず第1章だけは目を通してみたのだが、どうも経営戦略の分類基準だとか、あるいは「戦略」という用語の多様な意味についての解説に合理性がない。いまある経営戦略を並べてみて、それをどう分類できるかという記述的な議論だけをしているため、それらが「スクール(流派)」として10個に分類されるとか、あるいは「規範的な経営戦略と記述的な経営戦略とに分かれる」という二項対立だけで exhaustive だと断定しているのと同じである。しかし、それには根拠がない。人の記憶力は短期的には7つ前後だから、3つほど追加して10個などと言っているが、それはつまり根拠がないと言っているか、あるいは経営戦略について議論している人々が自ら掲げているラベルで分類したというだけのことであろう。
それに、そもそも既存の経営戦略のスクールについて並べて見せられたとして、それがいったい何なのかという気がする。それぞれの利点や欠点はあろう。しかし、総じて経営戦略やらフレームワークなどという〈必然的に〉短絡化されざるを得ない議論に欠点がないわけもないのであって、いまさら短絡的な議論や枠組みに欠点があると言われても企業のマネジャーとして何か新しく学ぶべきことがあるとは思えない。そして、逆にそれらの利点は、このような〈まとめ本〉を読むよりも古典に当たるべきであるというのが、アカデミックな訓練を受けてきた僕らのような人材の習慣でもあり、取り柄でもあり、能力でもあろうから、いちいち著作を読んで利点を掴むなんて面倒臭いことをしたくない人が多い中で、能力としても意欲としてもやれる者がしないというのでは勿体ないし、理にも反していよう。よって、カタログみたいな本を読む時間があるなら、われわれのような人材は古典を読むべきなのであろう。