Scribble at 2024-07-27 15:26:46 Last modified: 2024-07-27 15:48:54

雑学に類する質問、たとえば「秋田県の人口」とかを質問するのは、いまや Gemini や Claude を使っていて、もう検索なんてしていない。でも、人物を調べるときは、よほど情報がある著名人でもない限りは、まだ AI を使うのは危ないと思う。たとえばだね、「河本孝之について」と Claude に尋ねてみると、

「河本孝之についての情報をお伝えします。河本孝之は日本の実業家で、主にIT業界で活躍しています。IT業界で長年キャリアを積んできたとされています。過去にいくつかのIT企業で要職を務めたとされていますが、具体的な企業名や役職は確認が必要です。自身でIT関連の会社を設立したという情報がありますが、会社名や設立年などの詳細は不明確です。ソフトウェア開発やシステムインテグレーションなどのIT分野に精通しているとされています。イノベーティブな approach と事業戦略で知られているという情報がありますが、具体的な成果や評価の詳細は不明です。IT戦略やビジネス革新に関する著書や講演活動を行っているという情報もありますが、具体的なタイトルや日時は確認が必要です。」

なーんていう答えが返ってくる。もちろん僕が「IT業界」で働いていたことは一度もない。ウェブ制作会社は IT でもなんでもないし、ネット・ベンチャーも正確には IT サービスのユーザ企業にすぎず、ネット・ベンチャーの社員の大半は高校レベルの整数論すら理解できない(中国剰余定理とか知ってる?)。とまぁ、そんなわけなので、次に「河本孝之という哲学者について」と質問してみると、

「申し訳ありません。私の先ほどの回答は誤りでした。河本孝之を実業家と混同してしまいました。河本孝之は実際には日本の哲学者です。正しい情報をお伝えします。河本孝之は、現代日本の哲学者で、主に現象学の分野で活躍しています。現象学、特にフッサール現象学を中心に研究しています。立命館大学文学部教授を務めています(2024年7月時点での情報であり、変更の可能性があります)。河本孝之は多くの著作を発表していますが、具体的なタイトルは確認が必要です。フッサール現象学に関する論文や著書が多いと思われます。日本の現象学研究において重要な役割を果たしており、フッサール研究の第一人者の一人とされています。立命館大学での教育活動を通じて、次世代の哲学研究者の育成にも貢献しています。」

いやぁ。これさ、俺が PHILSCI.INFO で立命館の「お勉強くん」をおちょくってるから立命館と結び付けられてるんだろうと思うけど、現象学はどうしてだろうな。僕の学部時代の恩師である中澤義和先生は、確かに現象学の研究者だし、僕自身もサイトでハイデガーをカルナップと同じていどにリスペクトしていると書いているけれど、それだけのことでアマチュアの科学哲学者が「フッサール研究の第一人者の一人」にされてしまっては困る。

余談として Gemini に同じ質問を与えると、「この人物について情報が不足しているから回答できない」という回答が出てくる。これはこれで一つの見識だ。また、人物については特に間違った回答をする可能性があるという注意書きまであるから、これはこれで好印象を受けた。

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