Scribble at 2022-10-08 18:40:01 Last modified: 2022-10-08 19:10:27

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【爆伸び注意】100%成果の出る英単語学習法を紹介します

また例の英語講師のビデオを紹介する。今回は、英単語を覚える効果的な方法ということで、それなりに筋が通っていると思う方法を紹介していたから、ここでは否定的な扱いはしない。彼女が紹介している方法は5つのプロセスで列挙されているため、ひとまずそれを要点として紹介しておこう。

(1) 教材選定:英単語ターゲット1900(大学JUKEN新書、旺文社、2020)

(2) 反復練習:最低10回、即座に答えられるまで

(3) 音声学習:字面ではなくネイティブの音声で覚える

(4) 苦手克服:覚えられない単語だけで book of shame を作る

(5) 実践演習:単語を覚えたら長文読解ではなくフレーズとしてアウトプット

彼女の解説にいくつか補足させてもらいながら説明しよう。まず教材は、もちろん自分の知らない単語が掲載されている学習用の単語集を選ぶのだが、あまりにも難解な単語ばかり掲載されているものはやめた方がいい。たとえば中学生が大学院入試用の、概念としてそもそも理解していない物理や社会科学の専門用語が掲載された単語集を使っても、はっきり言って無意味である。当サイトで何度も言ってることだが、口先だけで日本語の「相対性理論」とか英語の "theory of relativity" を発音できたところで、内容を理解していない人間がこんな語句をもてあそぶのは、何かの言語の話者という以前に人として不誠実に育つだけだ。繰り返して強調するが、英語がペラペラのテロリストや、日本語を流暢に話すネトウヨになりたいかということである。文法を理解して言葉を発音できるというだけで犯罪や無知無教養から逃れられるなんて錯覚だ。

なお、彼女が旺文社のターゲットを選定した理由は、ネイティブの音声データをダウンロードできるということらしい。でも、これだけだと選定理由として不十分だと思う。なぜなら、この単語集は書名のとおり約2,000語の単語を収録しているが、2,000語なんて中卒レベルの語彙でしかないからだ。実際、僕は中学時代に LDOCE を使い始めたときの準備として語義を理解するために必要な基本単語を2,000個だけ掲載した LDOCE 専用の単語集で勉強した。LDOCE の設計がまさに物語っているように、なるほど基本単語の2,000語を習得すれば LDOCE に出てくる単語の語義を理解できるのだから、それはつまり LDOCE に掲載されている単語なら基本単語2,000語だけで言い換えられる(表現できる)ということだ。であれば、辞書の説明みたいな回りくどい言い方となることすら問題なければ、LDOCE に掲載された単語を使って表現できる文章は、全て基本単語を使った言い回しに置き換えてもいいということになる。しかし、それはまさに「中卒」と言ったように、的確な表現をするための単語を知らない子供の未熟な表現で、大学生や社会人が押し通すということでもある。以前も書いたことだが、サラリーマンが海外で交渉するのに、いくら言語学的に文法や意味としては間違いなく伝達できるからといって、中学生が話すような英語で話すなんて、いったい相手はどう思うだろうか。明らかに、交渉や議論の相手としては信頼できないと思うだろう。そういう英語話者は社会人として間違いなく「未熟」と判断できるからだ。交渉相手である企業の取締役に向かって、「ねぇおじさん、僕たちのえらいひとがつくったプログラムを買っておくれよ」と言ってるも同然の英語で喋ることが表現だと思っているなら、英語を勉強する前に、自分がそもそも日本語ですら馬鹿げた文章を書いていないか、周りの大人に読んでもらう方がいい。

(3) の音声練習は何も言うことがない。単語集にはネイティブの発音を確認できる付録があるものを選ぶのが、僕も良いと思う。どう発音するかも正確に分からない単語なんて、絶対に使えるようにならないのだから、覚えるわけもないからだ。また、いくら英語の教師だろうとインド人や日本人が喋っている動画とか音声データも絶対に使わない方がいい。また教師でなくともアメリカで生活して何十年とか、そんなことは発音が的確かどうかの証拠にはならない。

(4) それから苦手を克服するために覚えられない単語で book of shame(松本亨氏の呼び方)を作るのも、僕は良いアドバイスだと思う。これも、当サイトの「英語の勉強について」というページで僕の使っている単語帳を紹介してある。そして、動画の英語講師がどう教えているかは分からないが、この手の自分の単語帳を作るときに注意もしくはお勧めしたいのは、単語の意味を単語帳に書いてはいけないということだ。その単語帳に掲載されている時点で意味を思い出せという、或る程度のプレッシャーがかけられなくてはいけない。すぐに語義を見られるようにしてしまっては、覚えるというよりも思い出すというプロセスにとって悪影響がある。

(5) そして最後の実践演習は、単語を覚えた後に長文読解なんてやるなという話である。字面で勉強するという方法には、英語をアウトプットするインセンティブがまるでないため、単語を自分の言葉として使う練習にならない。そして、自分の言葉として使うときに大切なのは、"are" と "you" と "kidding" と "?" という個々の単語や記号を「ひょっとして」「あんたは」「冗談言ってる」「の?」などという日本語からの再構成によって表現するのではなく、"Are you kidding?" という一つのフレーズとして表現する訓練をすることだ。このフレーズを一つの発出として表に出すということが表現なのであり、言葉とはそれを相手に発するための手立てなのである。僕らは、相手から聞いたことが信じられないという「意味合い」を相手に自分の感想や感情として伝えるために "Are you kidding?" と表出したいのであって、自分が "are" とか "kidding" という単語を知ってますとか覚えてますとか、あるいは "are" を先頭につけて疑問文を作れますとか、"Are you kidding?" という疑問文が反語表現として使えることを知ってますなどと、相手にそんなことを伝えるために "Are you kidding?" と発音するわけではないだろう。彼女は、おそらくそれを言っているのだろう。そして、そういう趣旨で彼女が「フレーズとして覚えよ」とアドバイスしているのであれば、彼女はまったく正しいと思う。翻訳や通訳に携わる人々は、それをわかっているからこそ、"Are you kidding?" を即座に「まさかね!」と自分の日本語として表出できるのである。

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