Scribble at 2021-08-22 14:10:45 Last modified: 2021-08-22 14:18:21

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つい先日のアップデートから、Amazon の Android 用アプリケーションで色々な変更が加わっている。そして、その多くは僕の使い方という脈絡で言うと非常に迷惑な変更であり、いまも極めて使い辛く不愉快な思いをしている。

まず、検索キーワードの入力画面へ、バーコードを読み取ったり、洋服の写真をアップロードして似た洋服を検索する(というか写真だけしかなくてブランドが分からない人のために、できれば同じ洋服を検索することが目的なのだろう)機能が追加された。これは、アプリケーションのサイズが異様に大きくなったり、不要なデータ通信が増えるわけでもない限りは、特に問題ないと思う。

しかし、アプリケーションを起動して右下のハンバーガー・メニューをタップして表示されるカテゴリーの順番が変わってしまったのは困る。これまでは「本」「洋書」・・・などと並んでいたため、さすがに元々オンライン書店として出発しただけのことはあると安心して使っていたのだが、現在は「服・シューズ・バッグ・腕時計」「テレビゲーム」「本」・・・となって、洋書はアコーディオン・メニューの奥へと押し出されてしまった。もちろん、僕一人の用途なんてアマゾンにしてみれば知ったことではないのだろうが、世界中の AI やクラウド・サービスのプラットフォームとしての地位を築いていながら、20年前のビジネス書でもインターネット・マーケティングの秘訣などとコトラーあたりが叫んでいた personalization を、メニューの並び方に実装できない技術力の貧弱さ(というか、やりたくてもマーケティング部門に技術部門や UX 部門が押し切られている社内政治の歪さかもしれないが)には、相変わらず呆れるばかりだ。これが "Customer First" を高らかに唱える企業の実態であり、それゆえ具体的な企業の本だとか経営者が自ら(どのみち大半はゴースト・ライターだが)書いた本を僕は読む気がしない(メイヨー・クリニックの本は例外だった)。

そして、きわめつきが上記のカテゴリー変更だ。僕は常々、書籍のカテゴリーなんて日本の十進法だろうとアメリカのデューイ分類だろうと、公的に採用されている分類法があるのだから、それらを著しく逸脱するような分類方法を採用するのであれば、やはり著しいメリットがなくてはいけないと言ってきた(過去に CCC = ツタヤが佐賀県武雄市の図書館で指定管理者となった際に、所蔵図書を勝手に分類して並べていたことを批評して、同じ主旨で述べたことがある)。確かに既存の分類法だとカテゴリーが多すぎて、特にスマートフォンの画面では一覧性が悪くなるかもしれないので、幾つかのカテゴリーをまとめた方がいいという考えはありうる。しかし、アマゾンの分類は、はっきり言ってメチャクチャだ。"nonfiction" の中に "philosophy" があるかと思えば、"politics & social sciences" の下にも "philosophy" がある。そして、"politics & social sciences" の下にあるなら「社会思想」の類だけ別個に扱っているのかと思えば、そうではない。他のカテゴリーに入っている "philosophy" と全く分類は同じままだ。これは要するに、トップページに表示されるカテゴリーのキーワードだけが最初に決められて、そこに関連がありそうなカテゴリーを重複していようと不適切であろうと闇雲に並べているだけの、まったく素人がやる情報設計にほかならない。あるいは、これまたマーケティング主導の顧客を誘導することしか考えていない、傲慢な(パターナリズムの)「顧客指向」のデザインである。

そして、このカテゴリーを暫く見ていると驚くことに、これまでトップのカテゴリーに並んでいた "business & investment (management)" が無くなってしまい、それが "politics & social sciences" でも "nonfiction" でもなく、"professional & technical" に入ってしまっている。これも、かなり不愉快な変更の一つだ。日本のアマゾンでは、洋書のビジネス書はそんなに売れないのだろうか。

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