Scribble at 2022-08-30 20:28:50 Last modified: 2022-08-30 20:29:33

極端な場合、同じことについての経済効果を試算しても、正反対の結果が出ることもあります。現在、国内ではTPP(環太平洋経済連携協定)と呼ばれる貿易自由化交渉を進めるかどうかが議論されていますが、参加に慎重姿勢を示している農林水産省はTPPによる貿易自由化で実質国内総生産が7.9兆円に減ると試算。一方、TPPに積極的な経済産業省はTPPに参加せず自由化しないと10.5兆円減るとしています。これは、農水省は農業と関連産業、経産省は自動車と機械など主力産業への影響だけを計算しているためです。このように計算する人の思惑が如実に出ることがある点には注意が必要でしょう。

「経済効果○兆円」ってどうやって計算するの?

さきほど NHK の19時台のニューズを観ていた。ぜんぜん関係ないが、頭のでかいアナウンサーと顔のでかい気象予報士のおねーさんが喋っていたあとに、河童みたいな口のおねーさんがいくつかの話題を紹介するといった、奇妙な人選の報道番組である。今年に入って21時台のニューズも併せて一斉に人員が入れ替わっているのだが、どうも外見だけでなくアナウンサーとしての力量も二番手の人々が担当しているという印象が拭えない。これはなんなんだろうか。

ともあれ、そのニューズで、どこかのド田舎でイカの展示物が国からの交付金を使って建造されたという話が紹介されていた。交付金でイカの模型とは何事かという批判があったものの、地元の「試算」と称する胡散臭い皮算用では交付金の額面を遥かに上回る「経済効果」とやらがあるという。

この話でおかしい点は、もちろんいくつかある。まず、この試算の根拠が開示されていないため、経済効果の算出額に何の根拠もないということ。そして見落とされがちだが、交付金の金額よりも〈多い金額〉を何か稼いだらいいというものではないということが、こういう自治体の小役人どもには分かっていないということである。1億円の交付を受けたら1億円の「効果」がなくてはいけないなどという決まりはない。金額として計算できる効用を見込めるような事業にしか交付金を使えないなどという、ゴリゴリの役人根性でしか用途を思いつかない時点で、行政体としての利点がまるで活かせない。そんなロボットみたいな思考でしか用途を思いつかないなら、中央官庁にネズミと同じくらいたくさんいる東大の新卒にでも使い道を考えさせて、それを下知していただき実行するだけでも大差ない。

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