Scribble at 2020-04-08 12:09:36 Last modified: 2022-10-03 09:36:59

With both the first edition in 2001 and the second edition in 2008, I put six chapters online for free at once, then added the others four years after publication. For the third edition, I've negotiated an agreement with the publisher to put the chapters online for review as I write them. So the book will come out by instalments, like Dickens' novels. Once the manuscript's finished and goes to press, all except seven sample chapters will disappear for a commercial period of 42 months. I'm afraid the publishers insist on that. But therearefter the whole book will be free online forever.

Security Engineering — Third Edition

期間を限定して販売したあとに全てのコンテンツをオープン・アクセスの著作物として公開できるのか。ただ、限定されているあいだに公開できる範囲であっても、このページで distribute されている PDF を合計すると、一部の章が欠けているとはいえ、相当な分量(Adobe Acrobat で結合してみると 800 ページ弱もある)だ。数学的な原理の話から攻撃者の心理や法制度に至るまで、非常に広範な話題をカバーしており、このレベルの本が書ける人は、「ITリスク学」のような広範な分野を提唱している佐々木さんも含めても日本には殆どいないだろうし、仮に書ける人がいたとしても、この分量とレベルの本を商業出版してくれる事業者もない筈だ。オライリーに限らず、日本の理数系・工学系の出版社は、昔から(買い手の側に素養も関心もないという予想に基づいているから一概に出版社だけを非難することはできないが)、情報セキュリティに関わる本は殆ど翻訳しない傾向にあるし、売れ線の凡庸な機械学習や R の本はクズみたいなものでも繰り返して出版するが、こういう原理原則を扱った本は殆ど出さない。

正直、科学哲学をやっている人間だから感じるのかもしれないが、日本の理数系の出版社は科学史や科学哲学や STS を実験や理論に対する雑音くらいにしか扱っていないと思えるし、工学系でも原理原則よりは目先の応用とか金儲けに直結するような本ばかり出している連中という印象が強く、結局有能な人材は洋書しか読まないし、大学でも有能な教員に限って学生に洋書で教えるものだ。

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