Scribble at 2022-04-28 16:26:21 Last modified: 2022-04-28 16:35:30

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本棚に並んだ本をスマホでパッと査定、売れそうな本だけ、選んで送る。バリューブックスは会員制の「仕分け買取」サービスです。わたしたちは、より良い本の循環を考える、サスティナブルな古本買取を目指しています。

バリューブックスの買取サービスについて

古本の売却先として「もったいない本舗」を使っていたのだが、ここが出品する本はたいてい到着予定日に配送された試しがなくて、買う側としては信用しかねている。そもそも、ここから本が送られてくるときは日本郵便が使われているのだが、日本郵便は昨年くらいから無理な急配をやめていて1日か2日かは従来よりも到着に時間がかかると自分たちで広報しているくらいだ(アマゾンでも注意書きが掲載されている)。よって、発送した日から最低でも3日や4日はかかると思っているので、翌日や二日後に届くわけがない。それをいつまでも到着するわけがない異常な短納期で到着予定日を掲載するのは、販売事業者としてただの嘘つきというものだ。

300円や500円で買った本が送られてくるのに1週間かかろうと、そんなことで僕は怒ったりしない。そもそも本を即座に読まなかったことが、人として、企業人として、あるいは哲学者として、何か致命的な失敗に直結するなどということは、断じてありえない。未熟な文学少年少女でもあるまいし、本に、たとえそれが聖書であろうと、そんな力なんてないのだ。本の到着に長い時間がかかることなど大した問題ではない。僕らが大学院生の頃は、ハード・カバーの本を注文して1年かかることだってあったが(Michael Tooley の Causation: A Realist Approach という本を京都の至成堂という店で注文した)、それで誰かに研究成果の先を越されたとか、手にした本が無意味になるような業績が他に出たとか、そんなことは人文・社会科学では殆ど起こらない。

ということで、実は買取についても二束三文での査定が続くと、そもそも焼却してもいいやという気にもなってくる。僕の蔵書には、おそらく日本で10人も所持していないような(稀覯本という意味ではなく大して売れなかったという意味でマイナーな)本も含まれているとは思うが、それをアジアで哲学を学んでいるサルが読めなかったからといって世界史的な観点でのリスクが高まるとは思えない。知り合いや後輩がくれと言うなら引き渡すことにやぶさかではないが、古本の業者に売ったところで〈僕にとって〉大して効用がなければ、他人がこれらを手に取る効用など、実は知ったことではない。読みたければ自分で同じ本を探して買えばいいし、たいていは旧帝大の図書館にあろう。さもなければ洋書ならアメリカやイギリスの大学図書館に行けばいいわけで、しかも今では多くのタイトルが電子書籍となっているから、いまでは印刷物として手にする手間やコストをかけるのは、当人が部屋に並べたいという自意識や趣味や性癖を別にすれば、馬鹿げているとすら言える筈だ。

なので、たとえば上記のように別の業者のサイトも見ているのだが、どうも売り払う気が起きない。バリューブックスの場合だと、事前にどの本を売却できるかわかると宣伝しているけれど、逆に言えば「売り物にならないクズみたいな本を送ってくるんじゃねーよ、貧乏人が」と言っているのと同じだ。こういう業者は在庫を抱えることが事業リスクとなるため、つまるところ高かろうと安かろうとすぐに「掃ける」商品が優先だ。どれほど貴重な本で学術的な価値があったり、あるいは何かのファンにとって垂涎の一冊だったり、それとも一部のマニアにとっては何冊か手元に置きたいほどの本であろうと、転売業者にとっては即座に売れない本はガラクタでしかない。よって、事前に査定できるサービスだと言いながら、実際には送ってもらいたくない紙クズを萎えるほどの値段で叩いて牽制するのが目的であろう。

かといって、どこかの図書館に寄贈するといっても、最近は図書館の査定や管理も信用できないことが多い。いっとき、九州のクソ田舎でシンガポールの胡散臭いベンチャーとキチガイ市長が始めた「ツタヤ図書館」が、本を読んだことがないバイトを司書代わりに運営されていたなどと散々なことを言われていたけれど、あそこも地元の郷土資料を廃棄して全国の支店で売れ残ったクズみたいな本を集めていたりしたらしいが、いまでは多くの公共図書館が予算不足で司書を読書好きなだけの素人バイトに入れ替えたり、あろうことか管理職すら大阪維新と同じレベルの「効率厨」に入れ替えたりして、公共施設としての役割が期待できなくなってきている事例も増えつつある。それは、いまや大学図書館ですら同じ事情となってきているらしい。

これでは、哲学書をゆだねる先などあろうはずがない。死んだら、文字通り墓場へ一緒に持っていく(これだけの本を一緒に焼却できるとは思えないが)しかあるまい。

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