Scribble at 2024-05-27 18:57:14 Last modified: unmodified

哲学プロパーの諸兄ならご承知のとおり、古典に学ぶということには大きな、そして現代的な意義が常にある。それは何よりもまず、現代に生きてものを考えている我々自身が、古典を読んで活用しようとするからに他ならない。戸田山氏が『哲学入門』で示唆したように、「哲学は何の役に立つのか?」などと問うだけの、役立てるつもりもしない人間にプロパーが回答する必要がないのと同じで、「古典は何のために読むのか?」などと伝統を手軽に否定するような人間に、古典を役立てることはできない。

いまこうして現代のテクノロジーについて報道されている話題を追いかけていても、たとえば XMPP のようなメッセージング・プロトコルが普及しない理由の一つにある「囲い込み」(ロック・イン)は、それこそ30年以上も前から IT 業界やシステム開発の業界で議論されてきた古典的とも言えるテーマである。いまでも、オンライン・ビジネスやソフトウェアを開発・販売する事業においては、標準化、オープン化、そしてそれらと矛盾するようなロック・インという幾つかの仕組みを活用しなくてはならない。そして、その参考として、いまでも前世紀に出版された経済学の著作物を読むことが有効だと言える。

正直なところ、僕はもうその手の事業を考案したり立ち上げるような意欲はないけれど(そもそも、この「落書き」というコンテンツは、新しいオンライン・ビジネスのアイデアを色々と議論するために公開したようなものだったのだが)、傍目から色々と批評するための知識や情報は仕入れ続けているし、もちろんそこで問題になることが多い情報セキュリティやプライバシーといった話題と連携させるためにも、放っておいてよい話ではないと思う。

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