Scribble at 2021-08-03 15:19:19 Last modified: 2021-08-03 15:23:20

忘れていたが、先日は「1日に1冊」と書いておきながら、実は昨日は『星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則』(日経BP、2010)も目を通していたのだった。これは以前も通読したことがあるので、今回は最後にメモをとるところがあれば残しておこうと思って、ざっと目を通したわけである。

よく読まれている本なので、内容はご存知の方が多いとは思うが、本書は星野リゾート社長である星野佳路氏や星野リゾート関連会社で働く人々へのインタビューと、著者の中沢康彦氏の解説や論説からなり、星野リゾートで実際に行った施策の逸話や、星野氏が参考にした経営書の説明などが色々と出てくる。なので、経営書の定番を知るにも良い参考となる筈だ。ポーターやドラッカーやコトラーといったお馴染みの名前も出てくる。なお、星野氏が持論を展開しているかのような文体で書かれている箇所が幾つかあるが、恐らく実際に書いているのは「著者」である中沢氏なのであろう。最初に読んだときは少し混乱したが、初めて読む方にはあらかじめ注意しておきたい(特に冒頭部分)。

この本を読むと分かるように、大規模な書店であれば(いや場合によってはキオスクですら)置いているような定番と言うべき経営書に忠実な経営方針や計画を実行した成果が並んでいて、それはそれで興味深いのだが、恐らく要点は「ポーターを読もう」とか「ドラッカーを手元に置こう」ということではない。そうではなく、最大のポイントは自己欺瞞に陥ることなく事実を冷静に受け止めて、決めた計画を着実に実行することであろう。結局は、これが難しいからこそ、多くの企業では、経営陣が Harvard Business Review を英語で読んでいようと何の成果も上がらないのである。こういうメッセージを勘違いして、本書で紹介されている本を(割高なプレミア価格がついた古本でしか手に入らないものもある)掻き集めてみたところで結果はついてこないだろう。要は当人が自社の現状を正確に把握して、やり辛いことでも着実に実行するべく、社内の同意を丁寧に得て進めていけるかどうかの方が重要なのである。

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