Scribble at 2023-09-02 10:05:58 Last modified: unmodified

ssh のクライアントと言えば、日本では TeraTerm Pro が相当なシェアを占めていると言われているけれど、海外では recommendation の記事(いわゆる "top 10 clients" などを紹介する記事)には登場しない。もちろん海外では PuTTY が圧倒的なシェアをもっているのだろうし、どれほど英語版のページや UI を用意してみても欧米人だけでなく「非日本人」の lightweight discrimination と言うべき無自覚な選好は避けられない。

ただ、いずれにしても個人や有志が開発をてがけているツールに、個人や企業の多くが依存して仕事をしているというのは、一見すると「現実的」でもあるし好ましくも思えたりするわけだが、しかしどこかに不安が残る。確かにオープン・ソースとすることで、開発者がいなくなったり死んでもソース・コードは誰かが自由に引き継げる。でも、それは原則や形式の話である。実質あるいは現実の話として誰も開発を引き継がなければ、そのソフトウェアは誰にも関心を持たれなくなって、検索すれば見つかるのかもしれないが、実際には死んでしまうしウェブのインデックスの山に埋もれてゆく。

正直、僕は "findability" というキーワードを情報デザインの重要概念だと言っている人々は、デザインが人の生活のためにあるという点を忘れて視野狭窄に陥っていると思う。何かを必要として見つけようとする事情とか動機とか予備知識とかの方が重要であって、こんな小手先の技術について何をどう議論しようと本質ではないと思うからだ。

些事はともかく、このところ仕事でサーバへアクセスしたり、あるいは自宅で TeraTerm Pro を使って(すぐ隣に置いてある)Raspberry Pi にアクセスしていて、ふと思うことがある。まず、僕はサーバのエンジニアとして仕事に従事するようになってから、殆ど TeraTerm Pro しか使った経験がないのだが、これでいいのだろうかと思ったりする。せめて PuTTY も使えたほうがいいのではあるまいか・・・でも、なぜ? これから定年だか他の理由で会社を辞めたときに、どこかへ派遣社員にでもなって行ったら、そこでは PuTTY を使うことが社内ルールで決まっていたりする可能性があるからか? いや、それはないだろう。いまの仕事をやめたら、僕はもうウェブ制作やネット・ベンチャーで働くつもりはないからだ。コンピュータやネットワークといった原理的な知識や経験と技術をもっている人間は、実際のところウェブの会社なんかに行かなくても「IT人材」を求めている業種や会社なら、それこそかつてアルバイトで働いていた鉄工所やパン工場や補習塾や包装紙の印刷会社など、いくらでも行くあてがある。年齢という厳しい条件はあるにせよ、ssh でリモート・サーバへ接続するためのソフトウェアを指定されるような、実は非常に特殊な企業に敢えて就職する理由など無い。これまで働いてきた幾つかの会社と同じく、「俺が選んで使っている道具に文句があるなら、俺の生産性を越えてみろ」というのが基本的な態度であっていい。

しかし、そうはいいながらも好奇心として TeraTerm Pro や PuTTY 以外の選択肢には興味があるので、これはもう夏休みの課題としては遅すぎるから、今年の課題(それでも、もう9月だが)に加えておこう。

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