Scribble at 2022-07-07 15:16:15 Last modified: 2022-07-07 15:29:34

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セルロースナノファイバーを世界で初めて実用化し、“速書きでもかすれない、なめらかな書き味”を実現しました。 (ボール径: 0.38mm/0.5mm/0.7mm)

ユニボール シグノ 307

どうも気に入った商品が長続きしないジンクスのようなものがある。当サイトにも Favs というページでご紹介しているように、JT の『セノビー』という乳酸飲料にしても、あるいは30年以上前に吸ってた『DEAN』というタバコも、あるいは登場してもすぐになくなるので名前も覚えていないが、各社から短期間だけ発売されるカレー・ラーメンとかもそうだ。既にカレーは「国民食」の名を受けて久しいにも関わらず、そしてカップヌードルではカレー味が定番になっているのに、不思議なことだが袋めんのカレー・ラーメンは定着しない。話題作りのために短期間だけ原価割れなのに生産しているというわけでもなさそうなのだが、あれは誰か暇な社会学者でも調べてくれないものだろうか。

さて、どうも気に入っているユニボール(三菱鉛筆)の『シグノ307』というゲル・インクのボールペンも、瞬く間に僕が足を運ぶ文具屋や書店の文具コーナーから姿を消していて、もう堂島や天満橋近辺の文具店に置いている店舗は一つもないと思う。最後に見かけた、クリスタ長堀の Book 1st からも姿を消している。そして、問題はボディじゃなくて替芯なのだから、アマゾンで調べてみたところ、公式のアカウントはもとより扱っていないのだが、他の出品者も文具店でもなんでもない胡散臭いブローカーみたいなのばかりが扱っている。実際、ペンの替え芯の箱を一つ発送するのに1週間とかふざけたことを書いてる業者ばかりだ。それに、本体代金は標準的だが送料が異様に高く、本体代金と同じくらいの900円近くを設定している詐欺師もいる。あるいは、お前の店はボールペンの替え芯を桐の箱にでも入れて客へ送るのか? あるいは、「画材屋ドットコム」と称する出品者は、なんと自前のハガキ用紙と抱き合わせで、ボールペンの替芯を4本で1,000円などという価格で販売している(違法ではないにしても、こんなものを注文する必要はない)。さらに、出品者情報には「弊社顧問弁護士:弁護士法人ベリーベスト法律事務所」などと表記しており、逆に胡散臭い販売をしていることを自分で宣伝しているようなものだ(あのね、まともな規模の会社ならどこでも顧問弁護士なんているんだよ)。ということで、オンラインでもまともな業者が扱っていない。三菱鉛筆の公式オンライン・ショップにもシグノ 307 の替え芯は見当たらない。正式な発表はないようだが、どうやらシグノ 307 は生産を終えたか、段階的にクロージングしているものと思われる。生産しなくなれば注文できなくなるのだから、置く店が減るのも当然だ。

ゲル・インク、あるいはエマルジョン・インクのボールペンが登場してから、もちろん各社で競争の状態が長らく続いてきた。そして、文具店に行けば誰でも気づくように、水性や油性を上回る種類と分量で売り場を圧倒し始めている。その中でも、ご承知のとおり Zebra の SARASA シリーズが現状では抜き出ている。いまや画材かと思うほどの多色を展開していて、他にも速乾インクのタイプやシックな色合いのインクなど、ゲル・インクのボールペンを置いている店舗には必ず置いてあると言っていい。その次に、最初は低調なプレゼンスが目立たなかったのだが、どういうわけか売り場で占める数が増えていった、ぺんてるの EnerGel が売れているようだ。そして EnerGel の商品展開が特徴的なのは、SARASA のように多色のペンを生産するのではなく、ボディの方で色々なタイプを用意していることだ。中身はぜんぶただの黒なのに、ボディだけやたらと色々な種類がある。最初は、なんでこんなことをするのか分からなかったのだが、同じ色でも違ったボディのペンが欲しいという人も多かったということなのだろうか。もちろん、シグノ 307 でも基本の黒・赤・青とは違う色のインクを出してみたり、あるいはスタンダードな黒のボディではなく、ファンシーな色合いや白いボディのペンを出して別の購買層に訴えようとしたが、うまくいかなかったようだ。このあたりの各社の事情とか計画とかは、丁寧に調べたら、日本の(上場企業の経営者の聞き書きみたいなことばかりしてるゴロツキ同然の)クズみたいな経営学者や経営コンサルでも、少しはまともな本や論文が書けるかもしれないので、ぜひチャレンジしてもらいたい。

ともあれ、なくなってしまうものは仕方がない。手元にある数十本の替え芯は使い切るが、それから後は数か月前に書いたように海外向けの商品を探そうかと思っていたが、生産しないのでは同じことだろう。そろそろ他のペンに切り替えるため、幾つか物色しなくてはいけない。だが、SARASA は発売当初は僕も使っていたけれど、中国あるいはベトナム(どちらもロシアと仲がいい国だ)の工場で作るようになったからか、インクの品質が極端に悪くなって使うのをやめたという経緯がある。あれから中国人の技術が上がっている可能性もあるが(もちろん中国にも真面目に働く人は多いからだ)、それを確かめるために消費者が自分のお金でテストする責任などありはしない。それを立証して、製品の質がよくなったと証明する責任は、Zebra の方にある。ということで、シグノ 307 に代わるゲル・インクのボールペンなら、やはり EnerGel を選ぶことになるのだろう。他にも、もちろんユニボールの製品で普通のシグノとかユニボール One とかあるのだが、使ったことがない。それに、僕は企業で商品を選んでいるわけではないので、同じ会社のペンを使い続ける道理など微塵も感じない。そういうことをするのは、ペリカンの万年筆とモンブランのインクだけだ。

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