Scribble at 2022-07-07 11:43:49 Last modified: 2022-07-07 12:04:17

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ニック:一年ほど前に、Trail of Bits は DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)に協力して、或る問いに答えようとしていた。DARPA は、暗号通貨について誰でも「知ってる」ことの一つが現実に正しいのかどうかを知りたがっていた。つまり、ブロックチェインは本当に分散化している(decentralized)のかということだ。これは暗号通貨にとって重要な問いだ。そして、今回のエピソードでは Trail of Bits のチームが見つけたことを説明しよう。まず最初に答えを短く言っておくと、その答えはノーだ。ブロックチェインは本当は分散化していない。そして、これは大変なことだ。これからそれを説明しよう。

Immutable

さきほど紹介した "Fuck RSA" のプレゼンをやっていた人物が所属している Trail of Bits という会社が公表している文書に、ブロックチェインが分散化してないというレポートがある。これは DARPA と共同で調査したり研究した成果として公になっていて、それをポッドキャストで解説してくれている。そのエピソードの transcript があったので、翻訳しようとは思ったのだが、残念ながら CC BY-NC-ND であった(transform = translation が禁止されている)。ということなので、20分くらいのエピソードだから暇潰しに英語でどうぞ。

ところで、こういう対話や対談形式のコンテンツをコーディングするときに、dl なのか p でいいのかという話が昔からあると思うのだが、どうもリスト・タグというのはおかしいと思う。セマンティックスとしても definiens - definiendum という対比に合っていないし、場合によっては複数の段落に分けてコーディングするべき内容もあるため、dt 要素が連続するというおかしなことになる。かといって ul とか ol とするほどの「リストっぽさ」や「箇条書きっぽさ」が対話の文章にあるのかというと、それはおかしいだろうと思う。よって、いつごろから言われていたのかは知らないが、もう今後は対話形式のコンテンツをリスト系の要素としてマークアップするのはやめる。

でも、そうすると何が適切なのか。もちろん、HTML なんていう欠陥の多い統語論の公理系から意味論として適切に適用できる範囲の理論(数学では「定理」と言うことが多い。「理論」と呼ぶのはモデル理論の業界用語みたいなものだ)が常に導出できるなんてことは、これまでもなかったし、これからもないだろう。なんと言っても、現実のコンテンツの方が HTML などという公理系よりもたくさんの前提をもっているからだ。確かに、それらの幾つかは矛盾する可能性もあるが、僕が思うには現行の HTML5 のシンタクスがもつ前提に比べたらはるかに豊かで多様であり、HTML5 のシンタクスから導出された理論の意味論が充足する範囲のモデルでは、とうてい十分にカバーできていない。なので、理屈はややこしいが現行の HTML5 が想定している理論のセマンティクスでは、どんなコンテンツも HTML5 の要素だけで適正にマークアップできるなんてことはないのである。それこそ、p 要素を並べてはいけない十分な理由など、HTML5 の範囲のセマンティクスにはないだろう。

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