Scribble at 2022-11-08 16:52:12 Last modified: 2022-11-11 19:20:10

添付画像

Freetone – Pantone-ish colour palette for Adobe products (culturehustle.com)

Adobe は、印刷用の色見本である Pantone(パントン)が登録している色を有償で提供すると発表したようだ(実は昨年の話題である)。インクが工業製品として販売されるのは当たり前としても、その基準となる色の見本も、JIS みたいな規格と同じくビジネスの糧となるわけであって、Adobe なんていう守銭奴の集団が遅かれ早かれこういうことをやるのは想定の範囲内であった。そして、それに対抗して似たような色のスキームを作ってリリースするアクティビズムも想定の範囲内である。

もちろん、パントンで登録されている配合の色が使えなくなったら、それを避けて色を作成するように、Adobe のツールでカラー・ピッカーをアップデートしてもらえばいいわけである。知財として保護される範囲がどれほどなのかは知らないが、まさか「赤」に相当するすべての色を知財として保護できるわけでもあるまい。たとえば、僕らはアプリケーションで R, G, B の分解要素について 0~254 のスケールで調整していることが多いけれど、色というのは別に整数の範囲内だけでしか変わらないような特性なのではない。4.6 とか 125.98 とか、それこそ人間の目で区別できない範囲でも定義できる特性だ。Lab とか HSV とか RGB という色空間というのは、要するに人為的な定義によって色を区分しているにすぎない。同じく、DIC や Pantone といった物体色の見本も、それぞれの企業や団体が任意で区別したり分類しているだけのものである。自然の本質的な特性とは別の人為的な作り物であるがゆえに、知財として保護されるとも言える。逆に言えば、こんな色見本だけに依存した範囲でしか色を扱えない工業デザイナーというのは、やはり色に関しても多くの制約とか限界の中で仕事をしているのであって、任意の色を扱っているわけでもなんでもないのだ。

ということで、100や500の色が使えなくなると、ウェブ・カラーのパレットみたいにとびとびの値でしか色を使えなくなるのかもしれないが、実際のところ僕らのようなデザイナーにとっては些事でしかあるまい。寧ろ困るのは、既に作成したグラフィックスで使っている色が有償の色に該当し、放っておけば色の情報が失われてしまう恐れがあるということだ。まぁ確かに、大半の画像なんて二度と編集なんてしないからどうでもいいんだけど、写真とかだと困る場合もあろう。サイトの素材として撮影した芸能人やモデルの顔が真っ黒になったり、一部がホクロみたいになったりするのも変な話である。

"Pantone Connect X Adobe FAQ"

https://www.pantone.com/articles/faq/pantone-connect-adobe-faq

パントンとしての説明はここにある。冒頭で書いたように、実は去年から既にパントンのカラースキームは Photoshop などでインポートできなくなっている(印刷用なので、僕は原則として関知していなかった)ので、別に急いで作られた FAQ でもない。

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