Scribble at 2023-03-15 18:55:28 Last modified: 2023-03-16 19:21:20

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ひととおり手を入れてみた。上が到着したばかりの状態で、下が煮沸消毒して磨いたり研いだりした後の状態だ。下の写真は照明の当たり方で必要以上に光り輝いて奇麗に見えるが、もちろん曇った個所も多いし、たぶん実際に髭剃りに使おうとすれば、もっと丁寧に研がなくてはいけないと思う。

まず、なんだかんだ言っても中古品であるため、消毒する必要はあろう。消毒液を買う余裕はないので、恐らくお金もかからない標準的な方法としては煮沸ということになる。でも、既に公開している記事で書いているように、昔の straight razor の多くは高温に弱いスケールが使われているため、長く熱湯に浸すと変形してしまう恐れがある。ただ、他に方法がないため、リスクは相当にあるが煮沸してみた。

その結果、あるていど想像はしたが、やはりスケールの一部が変形してしまった。歪んでしまったので、ブレードを収めようとすると一方のスケールに当たってしまう。そのため、ブレードに横から力を加えてやらないと収まらないという、かなり不愉快な事態になってしまった。なので、再び熱湯に漬けてスケールを柔らかくしてから引き揚げて、二枚の蒲鉾板でスケールを挟んでから暫く置くと、スケール同士の隙間とブレードの位置関係が元に戻った。良かった。ただし、側面の向きにあった歪みはなくなったものの、垂直の歪みは残っていて、このスケールには pivot pin から数センチメートル離れた箇所に中間の pin があって、これと pivot pin との間を tail が回転してすり抜けるような作りになっているのに、この中間の pin にブレードの tail が引っかかってしまうようになった。よって、ブレードをスケールから出しても tail が引っかかるところまでしか開けないので、目一杯に開いても日本剃刀みたいな形状になってしまう。これは改めて煮沸して変形を繰り返すのも嫌なので、中間の pin(「中間」と書いているということは、つまり pivot pin の逆側の端にも pin があるのだ)を少し削ろうと思う。どのみち、これは僕の道具として持ち続けると決めているので、骨董品屋に売ることなど考えなくてもいい。必要なら幾らでも削るし、スケールを新しく用意して組み替えてもいいくらいだ。ただ、もともと日本剃刀の形状で問題なく WTG できるのだし、別に freehand でも backhand でも問題はない。

さてしかし、試しに剃刀を顔へ当ててみると、やはり殆ど剃れない。このタイプの剃刀に特有の「ジョリジョリ」という音はするが、髭を刃が撫でているだけにすぎないようだ。なので、研ぐ必要はあろう。もちろん、僕は標準的なコストの範囲で楽しむことを前提に試しているのだから、大谷山がどうとか、そういう沼地へ足を向けるつもりは毛頭ないわけである(自然砥石の銘柄を知ってる時点で相当に危ないが、まだ素人のまさに付け焼刃というやつだ・・・座布団二枚くれ)。ホームセンターで、骨董品のレストアという範囲での紙やすりなどは揃えてあったのだが、これは意外にも殆ど必要を感じないほど状態のいい剃刀だったので、これはこれでありがたい。でも切れ刃は普通に使っていてすら、さすがに手入れしないと、切れ味が悪くなるのだから、骨董品であればなおさら手入れの必要はいくらでもあろう。

とりあえず、自宅にある包丁を研いでいる砥石を使ってみた。これは包丁用の砥石で、表裏がそれぞれ #1000 と #3000 になっている。仕上げは #8000 とか #12000 とかを使った方がいいのだろうけれど、ひとまず剃れる状態にまでレストアするには、これくらいの粗い目でいい。ということで、#1000 から始めて #3000 も研いでみたが、まだ十分に刃が作れていないようだ。もう暫く精進しよう。

[追記:2023-03-16] やはりスケールが十分に開かないのは気になるので、ドン・キホーテで精密ヤスリを買ってきて、tail が中間の pin に当たらないようになるまで削ってみた。とりあえずこれで問題ない。骨董品としての価値は殆どなくなるが、自分の道具だ。道具として使えなくするのは愚かだし、元考古学少年が言うのもおかしいが、骨董としての価値なんて知ったことか。

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