Scribble at 2023-03-16 10:20:32 Last modified: 2023-03-16 10:26:45

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история завода СТИЗ, 1940-1983

僕が手に入れた剃刀は、ソヴェト連邦時代に運営されていた "СТИЗ (STIZ)" という工場で製造されたものである。製造されたのは1970年で、この時期の剃刀は既にスウェーデン鋼を使っていない、それまでの剃刀と比べて品質の下がったブレードであるらしく、実際に髭剃りの道具として集めている人やヴィンテージの剃刀を集めている人のあいだでも評価は低いという。でも、それゆえに安く手に入るわけで、ひとまず髭を剃る道具として最初に素人が手にする商品としては、皮肉にも最適であろう。ただし restore に過剰な手間やお金や時間がかからなければという条件付きだから、それなりに状態の良いものを手に入れないといけない。そのためには、何と言っても市場で取引されている数がたくさんあった方がいいわけだが、ソヴェト連邦時代に製造された剃刀は、この "СТИЗ (STIZ)" という工場で製造された商品だけでも年間に100万本が出荷されたという記録もあるらしいので、中国やロシアの公文書にすらによくある誇張が幾らか加えられていたとしても、それなりの数が残っていると言って良い。そして、その多くは ebay や Etsy などでは取り引きされておらず(もちろん、日本人と同じくロシア人の多くも英語が使えないからだ)、現在のロシア国内の市場で多くが取り引きされているし、もちろん各家庭に死蔵されている可能性もある。

多くの欧米のマニアが参照している BRITVA.RU (https://britva.ru/) というサイトのフォーラムで活動している "Антон"(アントン)という人物が非常に詳細で具体的な資料(その真偽を問えるとしても、判断はロシアの歴史学者にでもならないとわかるまい)を使って "СТИЗ (STIZ)" という工場の歴史を解説してくれている。もともと、この "СТИЗ (STIZ)" という名前は "Завод СТальных ИЗделий"(鉄材工場)という何の変哲もない工場の名前から作られた略称である。この工場はモスクワの北東部にある セミョノフスカヤ(Семёновская / Semenovskaya)にあった工場を改称したようである。なお、もともとモスクワには "СТИЗ" という略称を使っていた別の工場が違う場所にあったらしく、更にその工場でも剃刀を製造していたため、ヴィンテージの剃刀について帰属先を特定するときは注意を要するらしい。

その他、ロシアで運営されているフォーラムでは色々な詳しい情報が見つかるので、ひとまず一定の分量で資料が集まったら、当サイトでは単独のページとして掲載したい。

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