Scribble at 2026-05-30 18:45:52 Last modified: unmodified

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河出書房新社が1970年代に出版した『日本の考古学』という叢書がある。正確な理解には全く及ばなかったとは言え、僕が小学生の頃に全巻を手に入れて愛読していた本の一部だった。日本の考古学界では昔から色々とあったことなのだが、或る種の確執があったとされる近藤義郎氏と森浩一先生の論説を同じ一巻に集めたという珍しい成果でもある。また、論説の中には、高校の日本地図を弄繰り回すようなレベルで邪馬台国の所在地を推定するようなレベルの議論は学界から排除すべしといった威勢のいい議論も出ていて、人によっては象牙の塔だの衒学的だのと言うのかもしれないが、僕は通俗を良しとするインチキ左翼が語るような、素人へのマスコミ的なリップサービスとしか言いようがない「民主的」というフレーズが大嫌いだったので(要するに、僕は小学生の頃から権威主義者だったわけだ)、それなりに楽しく読んでいたものだった。

さて、その叢書は色々な意味で学界にインパクトを与え続けてきたらしく、その後にも青木書店という出版社から「講座日本の考古学」という叢書が計画されて、上のように立派な叢書が出版されたわけであった。その青木書店から出ていた方の叢書では、河出書房新社から出ていた「日本の考古学」に対抗するといった趣旨の序文が付けられていたので、明らかに河出書房新社の叢書をアップデートする意図があったのだろう。でも、残念ながら青木書店が廃業してしまい、この叢書は途中までの出版で止まってしまったのであった。しばしば叢書などのシリーズを別の出版社が引き継ぐ事例があるけれど、これを引き継ぐ出版社はあるんだろうか。仮にもだが、対抗相手とされた河出書房新社が「新版」を出す名目として引き継いだりしたら、古代史・考古学ではそれなりの話題になると思う。

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