Scribble at 2024-07-04 20:12:31 Last modified: 2024-07-04 20:19:39
ふるさと納税制度で仲介サイトを利用した寄付者へのポイント付与を巡り、サイトを運営する楽天グループと総務省の対立が過熱している。過度な競争を抑止する狙いで来年10月から付与を禁止するとした総務省告示に対し、楽天側は「傲慢」と強く反発し、反対の署名をサイト上で募集。ポイント発行の原資に自治体がサイト側に支払う委託料が含まれるとの総務省の見方も否定し、議論は平行線をたどっている。
以前から言っていることだが、この「ふるさと納税」という制度は税でもなんでもない。そして、「税でもなんでもない」と言う場合に幾つか意味があって、一つは地方自治体に対する寄付であり、要するに払う当人にとっては節税ということになる。そして、僕はこの制度の致命的な欠陥だと思っているのだが、この「返礼品」などというものを許容しているがために、寄付であるはずが実質的には地方の名産品を通販しているだけになってしまっていて、そういう名産品を遊び金で買える富裕層の暇潰しと化しており、寄付という意味合いも殆どない。そして更に、財政側から見れば、これは地方交付税交付金の代用であって、国民自身に地方自治体への「富の分配」という国の財政機能を肩代わりさせているのと同じである。ただ、これも必ずしも財政状況が苦しい自治体に寄付が集まっているわけでもないため、こういう思惑が政府側にあったとしても大して有効とは言えない。
そして、そういう前提があったうえで今回の事案を考えるに、寄付を促すという大義名分をもつセールス手法の一つだというのであれば、確かにポイントを付与するというのも分かる。ただ、もともとは寄付であるという建前や制度の趣旨からすれば、そもそも返礼品ですらおかしいのであるからして、ポイントを付与するという事実上の返礼も趣旨から反していると言って良い。つまり、国がそもそもこの制度を間違った仕方で導入したのがいけないわけである。まずは、そこから手を付けるべきではないかと思う。正直、この制度で起きているトラブルの大半は「寄付された側が返礼する」という、ものごとの善悪を軽視するパーソナリティを不問としたり助長するからだろう。
それに、楽天が「ポイントの原資は弊社から負担している」などと、まるで寄付に加わって地方自治体をサポートしているかのような発言をしているが、原資は明らかに自治体からの委託料であって、ネット・ベンチャーの経営者が、何の見返りもなしに地方自治体や介護犬や身体障害者などの寄付や福祉活動に加わるなんてことはありえないのだ(クリスチャンやユダヤ教徒ですら、実質的には死んだ後の見返りという錯覚や妄想に頼るからこそ、あれだけのクレイジーな寄付をするのである)。簡単に言うと、ここ10年くらい流行している「社会正義や社会貢献でビジネスを成立させる」なんていうのは、P&G の BOP ビジネスと同じで、こういう企業の経営陣が何度も公言することによって自己催眠をかけているだけなのだ。