Scribble at 2021-10-29 08:28:46 Last modified: 2021-10-29 08:33:17

進化論を教える是非について、知恵袋などでプロパガンダの質問(「なぜ、間違いの進化論を教えるのか?」などと、偏見を前提に質問している)を繰り返してる陰謀論者や偽クリスチャンがいる。こういう品性下劣、卑怯千万な輩はともかく、寧ろ僕は違う点が気になっている。その一つとして、アマゾンで「進化学」や「進化論」というキーワードで本を検索しても、ここ20年くらいのスパンで単行本の一覧を眺めても、まずまともなテキストが出版されていないという事実がある。つまり、高校までの生物で進化論を教えていることがどうという問題よりも、日本では大学生や成人が読む〈まともな分量と内容の〉進化学や進化論の概説書が殆どないのだ。もちろん、「進化論」というキーワードで検索すれば、クズみたいな読み物は捨てるほどある。それこそ何の業績があるのか誰も知らない福岡某のような、生物学者というよりも雑文書きと言ったほうがいい人物の通俗本に始まって、こう言っては気の毒かもしれないが十年一日の雑で安易な議論を繰り返す中村桂子氏の著作だとか、あるいは今西錦司の影響下にあると思われる、進化論の雑な亜流を思想書としてバラ撒く人々などなど、はっきり言ってガラクタの山だ。

イージーなクリスチャン、あるいは進化論を否定したがっている陰謀論なり「正論」が大好きな自意識過剰の病人たちは、こういう現状をよく理解したほうがいい。日本では、このような〈知の下方圧力〉が出版・マスコミによって至る分野、至るトピックで日本語話者の生活圏に重大な悪影響を及ぼし続けており、お前たちのような無知無教養の人間が心配しなくても、この国では一定の水準を越えて厳密かつ体系的な進化論や進化学の知見は、現状のままだと普及しないのである。(もちろん、知識は書籍だけで普及したり理解されるわけではないにしても、書籍は知識や情報を伝達したり普及させる非常に有効で強力な手段だ。)

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