Scribble at 2022-08-09 15:13:05 Last modified: unmodified

今年も Morisawa Passport の更新時期が近付いてきた。かれこれ15年以上にわたってライセンスを利用させてもらっていて、僕も(最近は殆どやってないが)名刺のデザインとか、あるいは(これは担当の管掌なので毎年やってるが)弊社の『会社案内』の制作とかで幾つかの書体を使っている。もちろん、ライセンスを利用しているからといってオッサンの Word 企画書みたいな書体のテンコ盛りなんて書類を作るわけではないし(いちおう繰り返しておくが、僕はデザイナーでもある)、使ってる書体なんて20も30もないわけだが、商用の書体であるからには幾つかの書体を使うのであればライセンスを契約した方がよい。

こういうわけで、書体を個別に購入した場合と Morisawa Passport を毎年55,000円ほど払い続けるのとでは、どちらがいいのかという比較をしようと思って、少し調べていたのだが、やめた。理由はいくつかある。

まず、いま使っている書体の数だけで言えば、買い切りの方がなんとか安くなるかもしれない。せいぜい8書体でウェイトは多くても3つくらいしか使い分けていないからだ。ただ、個別にフォントを販売しているサイトのライセンス料金の計算方法がよく分からないところが多い。ウェイトごとに1ライセンスとして計算するのか、それとも全てのウェイトを含む1つのフォントで1ライセンスとして計算するのか、どうもはっきりしない(というか、わざと明確に説明していない)サイトが非常に多いので、正直なところモリサワ以外でフォントを個別に販売している業者はぜんぜん信用に値しない。デザイン関係だからといって、書体のライセンス販売している業者まで仕事をどんぶり勘定でやってもらっては困る。

そして Morisawa Passport の方が個別にフォントを購入するよりも圧倒的に有利な理由がある。それは、書体が決まっていない場合に、文字に対して Illustrator や InDesign の画面上で書体を適用してみて比較できるからだ。Google Fonts などのオープンなフォントのサイトではサンプルのテキストを使って実際に書体を適用して比較するといった操作が簡単にできるが、日本語の書体、しかも商用の書体については、そんなことは実際にフォントをマシンにインストールしていない限り簡単にはできない。

そんなわけで、今期もライセンスの費用を会社に出していただくことにしている。これまでは某O商会を経由してライセンスを更新していたのだが、この5年ほどのあいだで Morisawa のオンライン・サービスでライセンスの管理もできるようになったり、ライセンスの更新手続きもオンラインで直に契約者ができるようになったので、自力でライセンスを更新するようになった。事務機屋に任せると、いまライセンスの代理登録をしてもらっている Dropbox や Adobe Creative Cloud にしてもそうだが、ちゃんと期日までにライセンスの更新手続きをやってるのかどうか、こちらに何もステータスを連絡してこない。なので、Adobe や Morisawa から「ライセンスの更新日が近付いています」という警告のメールがやってきて、こっちは営業担当にいちいちステータスを聞くという、アホみたいなことを毎年のようにやって心配する羽目になる。自分で更新手続きをして経理に支払いの依頼をすれば、忘れずに振り込みしてもらっている限り、ライセンスの更新なんて待っているだけで済む。なんの心配もない。

ただ、Morisawa を利用している方ならご承知のとおり、どういうわけかオンラインで見積もりや注文ができるのに、請求書をオンラインで発行できないため、これは問い合わせフォームで依頼しないといけない。確かに請求書を単純にオンラインでボタン一つクリックするだけでダウンロード=発行できてしまうと、二重請求のトラブルは起きる恐れはあろう。でも、多くの会社では請求書をダウンロードできるようになっている。会社の経理というのは、自分が支払いした請求書の請求番号くらい記録しているものだ。同じ番号の請求書が出てきたら、二重に支払ってしまう愚は犯したくないというのが多くの経理担当者のリスク感覚であろうから、同じ請求書を何度も経理に渡しても無駄であるというのが標準的な考えであろう。二重に支払ってしまって返金しなくてはいけないのが面倒だと予想できるのは、たぶん Morisawa が相手にしている事業者の多くが個人のデザイナー、あるいは少人数のデザイン事務所であり、実質的にフォントを使う当人や社長が直に振り込みをしているケースが多いからだろう。個人や零細の事業主で日商簿記3級レベルの経理実務ができる人なんて殆どいない。そんな人は、伊武雅刀と見間違えられる別人と同じくらい少ないはずである。

しかし、請求書をもらうのが面倒だからといって(これも零細などではよくあるが)見積書を請求書の代わりに使うというのは、はっきり言って厳格な中小企業診断士や経営コンサルタントからはカンカンになって怒られるような実務だろう。なぜなら、経費精算として社員が先に自腹で購入した物品の費用を後から会社が本人に支払うときに、こういう杜撰な手続きが横行していると、馬鹿でも分かることだが20万円で購入したパソコンの費用と称して40万円の見積書を会社に請求する奴が絶対に出てくるからだ。

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