Scribble at 2022-08-09 12:17:13 Last modified: 2022-08-09 12:19:26

Adobe はカスタマー担当者と名乗る方が、どういう目的でかは明確に分からないのだが、毎年のように電話を会社にかけてきていた。新型コロナウイルス感染症の蔓延という事態に至り(お気づきの方はいるかもしれないが、僕は「コロナ禍」という被害者意識だけの雑な言い方を好まないので、こういう回りくどい表現を使う)、ここ数年はメールでアンケートへの参加を訴えるようになったらしい。先日も、「アンケートご協力のお願い」という件名でメールが来ていた。なんでも所要時間は10~15分で、QUOカード 10,000円分 10名様、QUOカード 5,000円分 20名様というプレゼントが抽選で当たるという。

もちろんだが、こういうメールはたいてい HTML メール(ウェブ・メール)なので、そのまま GMail の画面からボタンをクリックするのは馬鹿だけである。ネット・ベンチャーにそういう人材は一人も必要ない。一人で営業利益(売上ではなく)を年間で億単位で叩き出せる営業やディレクターなら、そういう愚かさに釣り合うのではないかと思うなら、それは単純な錯覚だ。その愚かさで会社が被る被害は、もしかすると倒産するまでのインパクトになりえる。会社の将来をその一人に託していいというなら、その人物に好きにさせてもいいが、僕はそんな会社には勤めたくない。それはもはや「組織」とは言えないからだ。

そして、もしあなたが会社の部長なら、その15分をくだらないアンケートへの回答に答えた機会費用がどれくらいなのか考えてみてもいい。単純に工数計算だけなら、たとえば僕はサーバのエンジニアとして1人日6万円の見積もりを出しているから(拘束時間は6時間)、15分だと2,500円である。その15分で僕が2,500円を超える仕事ができると見込まれている場合、僕がそのアンケートに回答することは会社の期待している工数の使い方を誤っていることになる。僕は部長だから、アンケートに答えようとサーバの設定をしようと(期日に遅れない限り)何をしようと裁量があるけれど、一般社員がルーチン・ワークを放り出してアンケートに答えていたら、それは厳密には就業規則に反しているし、機会費用のスケールによっては会社へ些細でも損害を与えたことになれば背任ということにもなろう。些末な話に見えるかもしれないが、こういうことは気軽に考えすぎても社内の士気が下がる元になる。気楽に安心して仕事をする、昨今の流行語で言えば psychological safety があるというのと、だらけているのは違う。

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