Scribble at 2024-07-09 15:45:01 Last modified: unmodified

アメリカの教科書は "self-contained" だと言われることがあり、「自習に向いている」などと訳されたりする。それは、もちろん教科書という著作物が授業で使われる教材として制作されているからだ。本来ならば授業で教員の解説や質疑への応答などでフォローしながら、色々な事情で授業に参加する学生に同じていどの内容を理解させられるようにする共通の教材として教科書は制作されているのだが、「色々な事情」の中には、そもそも授業に出られない人も含まれることがあるため、全ての授業に出られなくても自習で補うことができ、そして質疑についてはオフィス・アワーに教員を尋ねればよい。したがって、教科書を読むだけで一通りの水準で内容を理解できるように書かれてはいるものの、"self-contained" な教科書というものは、「独学に向いている」わけではないのである。僕が制作する予定の概論書は独学に対応することが一つの目標であるから、"self-contained" な教科書ではない。授業の教材としても自習用にも使えるには使えるが、教員のフォローを前提に制作するわけではないからだ。

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