Scribble at 2021-05-21 10:01:49 Last modified: 2021-06-08 18:04:48

英語の勉強方法として、当サイトでも何度か英英辞典を紹介したし、もちろん半世紀以上も前から多くの教師らが紹介している。実際、英語圏での "English as a foreign (second) language" (EFL/ESL) といった観点での政策から学習グループにいたるさまざまな活動でも、EFL/ESL という観点から編集された英英辞典が幾つか発行されている。これはこれで問題はないが、英和辞典で明解に「日本語ではこう言う」と表記してもらう方がすぐに分かる場合もあり、英英辞典だけを使えばいいというのは、もちろん錯覚である。ときとして、中途半端なレベルであるにもかかわらず TOEIC で900ていどのスコアをとったくらいで「英語ができる」と誤解したような塾の講師とか大学院生などが YouTube でデタラメな講釈をばら撒く場合もあるが、母国語が日本語である人にとって英和辞典を否定する意味はない。

例えば、"logogram" という単語が分からないとする。これを Merriam-Webster で調べると、非常に簡潔に "a letter, symbol, or sign used to represent an entire word" と書かれているが、「言葉全体を表現するのに使う文字」と言われても、場合によってはピンとこない人がいるかもしれない。そして、例文として "the ampersand and dollar sign are logograms"(例「文」なのに、なんで書き始めが大文字ではなく、またピリオドもないのかよく分からないが、全てを文として体裁を統一しなくてもいいように、「節」の扱いにしてあるのかもしれない) と出ているが、「アンパーサンドとドル・マークは logograms である」と書かれても、すぐには分からない。しかし、日本語で「アメリカの『ドル』を表すために使う "$" のような記号(の用法)」だと書かれれば、すぐに分かるだろう。すると、番号("number")を表す "#" とか、率("percent")を表す "%" とか、大小関係("larger than")を表す ">" とか円周率の "π" も "logogram" であると分かる。そして、漢字もまた "logogram"(表語文字)である。なんにせよ、英和辞典を使った方が母語が日本語である者には分かりやすいことがあり、語釈を明解に理解できることが重要であって、英英辞典を使うか使わないかは問題ではない。無闇に拘るのは、何か本質的な勉強法を取り入れているというポーズを他人に見せたいだけの自己欺瞞や自意識プレイであろう。

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