Scribble at 2026-09-26 12:56:08 Last modified: 2026-09-26 13:29:00
仕事の場合は NDA があるのはもちろん、仮に契約がなくても、広告代理店やトップ・クライアントとの立場上の関りという暗黙の脈絡があって、なかなか自分の実績として紹介できないことも多い。よく知られているように、任天堂や P&G は NDA で厳しく取引関係の事実を管理していて、「任天堂や P&G の仕事をやったことがある」と言うだけでも怒られたりする場合があるんだけど、まぁ具体的にどの商品に関係してとか、どのサイトに関わったとか言ってなければ、単に証拠無しの自己宣伝というだけだ。ホラ吹きとあまり変わらない。だが、特定の企業に在籍しているという事実とセットで言えば、それは法人どうしの取引関係を公表したことになるので、証拠があろうとなかろうと問題にはなる。いちおう NDA では時効だから言うけど、僕は『Last Story』というゲームのサイトでコーディングを担当していた。あれって、売れなかったら坂口氏は本当にゲームのプロデューサーから引退するとか言ってたけど、結局はどうなったのか知らんし、売れようが売れまいが、あるいは引退しようがしまいが報道されないほど些末なことだったのだろうな。任天堂にとっては黒歴史になったはずだ。
かようにして、disclosure というのは微妙な問題ではあるから、必ずしも証拠だエビデンスだと叫んでいればいいわけでもないのが大人の世界というものである。ただ、そうは言ってもホラ吹きが恥ずかしいのは逆に子供でも分かる話であるから、建前であろうと正論にすぎないのであろうと、教える必要はあるし、スタンダードだと理解してもらう必要はある。
このところ、生成 AI なりエージェントについて、SNS ではやたらと技術論とか応用とかツールの話をしている人が増えているわけだけど、あいかわらずそういう人たちの 99.9 % は根拠無しのステマか自己宣伝にすぎないというのが僕の理解だ。小学生がエージェントでウェブサイトを制作したとか(たぶん、そんなにスキルとか知識とか必要ないので、別に驚くようなことではないはず)、高校生が開発ツールを紹介してるとか、色々な業界の会社員が仕事で使うツールを作ったと言っては画面を紹介していたりする。どう見ても Kintone のステマだとしか思えない場合も多い。だが、やはり大半は現実に他人が見て納得できるような実績も証拠もない。
そもそも、常識的かつ冷静に考えてもらいたいのだが、そんなにたくさんの人たちが仕事や趣味で生成 AI を使い、しかもエージェントとしてブンブン回して自動処理させているとしても、それを大規模にやっている OpenAI や Anthropic の研究部署ですら目覚ましい業績を理論でも応用でも毎年のように出せているものでもないのに、凡庸な人間が凡庸な作業を agentic AI で自動化したくらいで、いったい何になるというのだろう。つまり、大半の agentic AI と言っているのは、単なるクラウド・サービスを使った RPA にすぎないのであって、本来の AI エージェントを使ったプロジェクトではないのだ。そして、何かしらの意思決定に使える結果を agentic AI がまとめあげたからといって、現実の企業の経営者や事業本部長クラスでもない限りは、下っ端の社員や妄想学生が勝手に現実の事業や業務に反映させて業績になんてできるわけがないのである。だから、たいていの AI 語りやエージェント語りは、おそらく証拠のない自己宣伝にすぎないのだ。ナウい先進的なサービスを使える僕ちゃんって IT 人材じゃん、みたいなことである。
実績を証拠として紹介することは、もちろん難しいし、できないことがある。しかし、実績として証拠を出せないのであれば、その手段としてこれこれを使っていると言ってみたところで、それは単なる道具の宣伝でしかない。当人が本当に自分で作ったり使っているかどうかも分からない。しかも実績が伴わない宣伝だから、実演販売にもならず、チラシを撒いているのと同じである。