Scribble at 2024-02-02 07:59:33 Last modified: 2024-02-02 08:11:34

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あいかわらず Windows が起動したときにネットワーク通信の確立が遅い。OneDrive や Dropbox がサーバと同期できなくて困るから、よほど急ぐときはネットワーク・アダプタをトラブルシューティングのメニューで再起動すると接続できるようになることもあるが、これが早すぎてもエラーになるので、結局は数分ほど待つという「日にち薬」しか手立てがない。NURO のルータ側に問題があるような気もするが、そちらはこれから検証していく。

さて、こういうことの対処方法を調べると、たいていは「トラブルシューティングで…」とか、「デバイス・マネージャで…」とか、猿でも考えつきそうな手順を紹介してはパワー・ユーザぶっているアホのアメリカ人とかが大半を占めているわけだが、中には上のサイトのように危険なページも増えてきている。僕らのような情報セキュリティやシステム開発に従事している人間であれば、簡単に怪しいサイトだと判断できるのだが(この判断が仮に偏見や差別や思い込みであって間違っているとしても、こういうサイトを無視して重大な情報を見逃すというリスクは、ほぼゼロだと思う。そんな重大な情報を書けたり知っているほど優秀な人間なら、とっくにマイクロソフトや Google で働いている筈だからだ)、英語であることと、それから昨今は生成 AI でオフィシャルっぽいオフィスの写真みたいなものをいくらでも吐き出せるから、騙されやすくなっている。やはり最後の最後は、素養、つまり勉強したり経験を重ねるということが、こういうインチキな連中から身を守る有力な武器になるのだ。

僕らがこういうサイトを怪しいと感じる第一の理由は、このサイトのテーマが「ドライバ」であることだ。Windows のドライバは、もちろんハードウェアの製造元しか開発できない。なぜなら Windows からハードウェアをコントロールするための API や動作仕様といった情報を SDK として利用するには、マイクロソフトと高額な費用がかかる契約を締結して、正規のディベロッパー登録をする必要があるからだ。巷で Windows 用のアプリケーションや無料ソフトウェアを開発して公開している人も SDK の一部を開発者として利用しているが、ドライバを開発したり、あるいは他社の製造するハードウェアのドライバにアクセスするようなプログラムまでは書けない。つまり、全くの部外者がハードウェアの製造元しか知らないドライバの情報なんて持ってるわけがないのである(もしそういうメーカーの元社員なら、自分のサイトで勝手にドライバの情報を公開することは、日本で言えば NDA や不正競争防止法違反だ)。つまり、ドライバの情報サイトなんて言ってても、適法な範囲で言えることは、せいぜい僕ら自身が Windows のデバイス・マネージャやシステム情報やトラブルシューティングを使っているときに表示される内容と同じであり、何も特別な知識や情報や才能など必要ない。よって、そういうサイトが違法な情報を掲載していないとしても、そんなサイトから得られる重要で新しい知識なんてまったくないのだ。

第二に、同じ理由から「Windows のドライバを提供する」なんて個人ができるわけないのであって、それは単に自分が持っているドライバのインストール・ファイルをサーバへアップロードして公開しているにすぎない。そして、それはドライバのインストール・ファイルの利用規約違反である。また、そういうサイトで公開されているドライバの大半は、実際にはスパイウェアやウイルスが仕込まれていると考える方が安全であり、それが偏見だとしても、それは自分を守る「良い偏見」である。或るファイルがウイルスに感染しているかどうかを確かめてから判断するなんて、素人にはできないのだから、リスクがあると分かっていて試しに使ってみるなんてことは無謀でしかない。また、そういう偏見をもったところで、誰かの人権を侵害なんてしないのだから、他人に非難されるいわれもない。

第三に、このページは Windows を使っていてネットの通信速度が遅い場合に何をすればいいのかというテーマで幾つかの「対策」と称する手順を紹介しており、どういう意味や根拠があるのかは分からないが、わざわざ記事のタイトルに「[SOLVED](解決済み)」などと書いてある。この「[SOLVED](解決済み)」という表記は、普通は掲示板とか issue tracker と呼ばれるバグ報告のフォーラムなどで、個別の問題を報告したユーザが問題の解決状況に応じて設定するステータスのことだ。ブログ記事を書いている当人が自ら勝手に「[SOLVED](解決済み)」なんて表記をブログ記事の冒頭に書くなんて非常識だ。

それから第四に、これは記事を実際に読むと分かることだが、「ガイダンス」や「トラブルシュート」や「対策」などと称して、全くのデタラメが書いてある。たとえば、いくらネットのスピードが遅いと感じるからといって、Windows Update の自動更新を停止しろなんて理屈や対策はありえない。こんなことを「対策」などと称して書こうとするのは、十中八九、それで得をする人間、つまりウイルスを仕込ませたいと思っている人間だからだろう。そもそも Windows Update に関わる更新ファイルをダウンロードするくらいのことでネットワーク通信が常に遅くなるなら、もし Windows Update を無効にしていても、YouTube を観ながら何の作業もできない筈だ。何か巨大なファイルを一つや二つダウンロードしているくらいで、他のサイトへの通信が遅くなるなんてことが頻繁に起きるなら、これでは Windows が全くネットワーク通信を管理したり最適化していないと言っているようなものである。もし本当にそこまで根本的な問題が起きているなら、それこそ Windows の基本的なトラブルシューティングだけで解決する筈である。

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