Scribble at 2024-09-13 12:41:42 Last modified: 2024-09-13 15:53:56
採用にあたっては、履歴書の提出や面接を行わない代わりに、個人情報の取り扱いなどに関する誓約書にサインを求めていた。
弊社でも NDA とか幾つかの契約書や覚書を外部委託の企業や個人事業主と交わすわけだけど、そもそも事故が起きたら NDA もヘチマもないわけで、たかが個人事業主なんかに被害の補償なんてできるわけがない。したがって、リスク対策というか常識だと思うけど、外部委託にあたっては初手が最大のポイントになる。僕らが社内で「与信」というものの重要性を何度も研修とか広報で強調しているのも、馬鹿や無能どころか法令を軽視するようなゴロツキでも、「ウェブデザイナー」だの「エンジニア」だのを勝手に名乗って仕事できるのが、どれほど電通案件をやっていようとこの業界だってことを自覚させるためだ。「賤業」とまでは言わないにしても、現状のウェブ制作は、パソコンかオンライン・サービスさえ使えたら仕事ができると錯覚している、はっきり言って他の業界で使い物にならないカスみたいな連中の掃き溜めとなりつつある。
ということで、その初手がどうにもまずいと思える上のような事例について、フジサンケイ・グループのメディアが報じているという事情を差し引いたり偏向を再調整しても、やはり子供を預ける人々が不安に感じるのは当然だろうと思う。そもそも、一筆を書かせるなんてのは、書かせる場面で本人を牽制するくらいの心理的な効果しかないのだ。契約書や念書を書かせたくらいで、性犯罪を起こしかねない「潜在犯」や気軽に小遣い稼ぎしたいだけの甘い人間が身を律するわけがないのであって、結局は人材を査定する能力が採用側にないか、そのコストを保護者のリスク判断に転嫁したいだけのことだろう。役人というのは、僕らバック・オフィスの社員も社内では「役人」に準じる立場にあるから、これは自戒にもなりえるが、こういうことを平気でやるから恐ろしいのだ。
確かに反論は可能だ。つまり、自分の子供がそんなに大切で専任のスタッフに面倒みてもらいたいなら、それに見合うコストを負担するべきだという議論である。一人のスタッフが十分に配慮できる人数の限界は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」という法令によると4歳・5歳児で30人となっているが、僕はこれは異常な基準だと思う。しっかり目配せしながら相手することを考えると、せいぜい一人のスタッフで5人前後が限界ではないかと言いたい。しかし、そうすると保育士一人の年収を400万円と仮定して(平均だとこれくらいらしい)保育所の設備費や光熱費など間接的なコストも考慮するに、スタッフを一人だけ雇うのにかかるコストは常識的に3倍強と言われるので、1,200万円ていどと考えたらいい(こういう計算をしないで社員の給与の見積もりだけで人を雇う経営者が多いから、会社というのは簡単に破綻するのだ)。では、保護者が保育所に年間で子供1人あたり240万円を払えますかという話だ。もちろん、大抵の家庭は払えない。ではどうして保育所が維持できているのかというと、当たり前だが地方税からの助成があるからだ。現実には、保育員や教員は私立だろうと公立だろうと国や地方自治体が面倒を見ているのであって、保護者だ PTA だと偉そうに言ったところで、教員の生活を支える金銭的な貢献度合いなど僅かな金額でしかない。仮に税金を億単位で収めていても、その中で教育に割り当てられる予算規模など、教員一人を養う金額にもならないのである。
確かに、だからといって「贅沢言うな」と言えるわけでもなく、更に進んで税金の使い道を更に教育関連へ多く割り当てて、その国や地方自治体が面倒を見ている保育員や教員の数を増やせばよい。それなら、そもそも「隙間バイト」どころか働いていない正規の資格をもつ人たちを再雇用できるだろうし、新規に採用する人々も増やせるであろう。ひとまず、上の記事で紹介されているケースでは、多くの批判を受けて有資格者だけに依頼することにしたようだが、それでも片手間にやるような人へ依頼することに変わりはないわけで、保護者の心配は残るであろう。